2006 Fiscal Year Annual Research Report
土壌-微生物-根複合系を介した作物の有機態窒素吸収メカニズム
Project/Area Number |
05J02942
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
岡本 美輪 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 北海道農業研究センター根圏域研究チーム, 特別研究員(PD)
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Keywords | 有機態窒素 / 直接吸収 / 窒素代謝 / アーバスキュラー菌根菌 / ポリリン酸 / GC-MS一斉分析 |
Research Abstract |
植物根が、共生糸状菌であるアーバスキュラー菌根菌を介して有機態窒素を吸収する際、菌糸内におけるリン(ポリリン酸)と共役したアミノ酸輸送システムが関与することが考えられる。そこで今年度は、菌糸中のポリリン酸と窒素の同時分析により、両者の共役輸送の可能性について検討した。ポットにオートクレープ滅菌した川砂を充填し、ナイロンメッシュ(37μm格子)で2区画に仕切った。一方の区画にアーバスキュラー菌根菌胞子を接種し、ミヤコグサを8週間栽培した。栽培期間中は、低リン濃度の培養液を2〜3日おきに潅水した。もう一方の区画から外生菌糸を回収し、ポリリン酸含有率を、ポリリン酸キナーゼ反応にもとつくATP生産量に換算して測定した。また、菌糸を酸分解し、窒素および各種元素の含有率を測定した。菌糸回収量は1ポットにつき15-20mgであり、ポリリン酸や各種元素の分析が可能な量であった。培地に用いた川砂が,菌糸に付着して元素分析結果に影響をおよぼすことが懸念されたが、川砂の主な元素がAlやFeであるのに対して、菌糸はN, K, Mgをもっとも多く蓄積したなど、異なる傾向を示したため、菌糸の分析値における川砂の影響は小さいものと考えられた。しかし、培地の影響を極力低減するため、各種元素含有率の低い石英砂を用いることを検討している。 今年度はさらに、有機態窒素の直接吸収が、植物の窒素代謝におよぼす影響について検討した。無菌的に有機態窒素を与えて栽培したソルガムの根抽出物を、GC-MSにより一斉分析した結果、66化合物が同定された。ピーク面積値にもとづく主成分分析を行ったところ、与えた窒素形態による代謝産物組成の違いが見られた。すなわち、吸収した有機態窒素が、無機態窒素とは異なる代謝経路を通じて同化されている可能性が示唆された。
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Research Products
(1 results)