2007 Fiscal Year Annual Research Report
土壌-微生物-根複合系を介した作物の有機態窒素吸収メカニズム
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05J02942
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Research Institution | National Agricultural Research Organization |
Principal Investigator |
岡本 美輪 National Agricultural Research Organization, 北海道農業研究センター根圏域研究チーム, 特別研究員(PD)
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Keywords | 有機態窒素吸收 / アミノ酸 / アーバスキュラー菌根菌 / 二重標識グリシン定量 / アミノ酸トランスポーター |
Research Abstract |
1.前年度に引き続き、植物の有機態窒素吸収における菌根菌共生の効果について検討するとともに、有機態窒素のひとつアミノ酸の直接吸収メカニズムを明らかにするため、同位体標識アミノ酸を用いた直接吸収量の定量と、アミノ酸トランスポーターの探索を行った。 2.ソルガム、パールミレット、イネの幼苗を、窒素源として有機態窒素(米ぬか・稲わら)を含む培土に移植し、アーバスキュラー菌根菌の胞子を接種した。いずれの植物も、有機態窒素の施用によって窒素吸収量がわずかながら増加したが、菌根菌接種による違いはほとんど見られず、有機態窒素吸収におけるアーバスキュラー菌根菌の関与は少ないことが明らかとなった。 3.有機態窒素施用でもっとも良い生育を示したソルガムについて、有機態窒素の直接吸収能力を検討した。窒素源の異なる無菌的条件下で栽培したソルガムでは、無機態窒素である硝酸を与えた場合に比べて、アミノ酸のグリシンを施用すると窒素含有率が有意に増加し、グルタミン施用ではさらに増加した。このことから、ソルガムのアミノ酸吸収能力は非常に高く、窒素源として効率的に利用されている可能性が示唆された。 4.さらに、窒素と炭素の同位体元素で二重標識されたグリシンを与え、植物体中に存在する標識グリシンをGC-MSで同定・定量した。その結果、グリシンを窒素源として生育させたソルガムでは標識グリシンの吸収速度が非常に高いことが分かった。すなわち、生育期間中の窒素形態によってアミノ酸吸収能力の発現に違いが現れることが明らかとなった。 5.ソルガムのアミノ酸吸収におけるトランスポーターの関与を証明するため、ソルガム根のmRNAからcDNAを合成し、シロイヌナズナの遺伝子情報を参考にPCRを行った。その結果、ソルガム根にはシロイヌナズナおよびイネのアミノ酸トランスポーターと相同性の高い遺伝子領域が存在し、これがアミノ酸の輸送体として働いている可能性が考えられた。
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Research Products
(4 results)