2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05J03031
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
海老原 志穂 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 言語学 / チベット語 / アムド方言 / 文法記述 / 少数民族言語 / 中国 / 青海省 / チベット族 |
Research Abstract |
中国青海省、海南チベット族自治州において夏季に3ヶ月のフィールドワーク(口語資料の録音及び文法調査)と文献収集を行った。日本在住のアムド方言話者に対しても随時、調査を行った。民話などの録音資料を書き起こした口語コーパスのデータと上述の文法調査をもとに、以下のような成果が得られた。 形態論:修士論文で行った助動詞研究を発展させた。動詞述語の構造を明らかにするとともに、動詞に後続する助動詞の種類などを調べた。特に、完了を表わす助動詞に関して、それらが、先行研究で述べている意志性を表わすだけでなく、方向性も表わすことを明らかにした(日本言語学会第130回大会,於:国際基督教大学 2005年6月21日およびThe 11th Himalayan Languages Symposium at Chulalongkorn University, Bangkok 12/9,2005における口頭発表) 統語論:複文の研究を行った。従属節の種類を明らかにし、各従属節における接続助詞の形態変化、統語的な制約を調べた。その研究の一部を「チベット語アムド方言の従属構文(NI節による)における名詞句指示」(『思言』投稿論文)にまとめた。現在は、条件節と目的節に関する論文を作成している。さらに、従属節全体の中での従属度のランキングを明らかにする予定である。チベット語に関する統語的な研究は数が少ないため、本研究はチベット語の記述研究に大いに貢献するものと思っている。 談話資料:アムド方言による民話、歌、なぞなぞ、ことわざなどの口承文学の録音と書き起こし(チベット語表記、音韻表記)を行った。テキスト入力したデータは、チベット語表記のテキストが約190分、音韻表記のテキストが約85分である。資料の一部にはグロスと日本語訳をつけた。
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Research Products
(4 results)