2006 Fiscal Year Annual Research Report
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05J03063
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
黒岩 壮吾 青山学院大学, 理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ケイ素化合物 / 超伝導発現機構 / 長周期構造 / ラマン散乱 / 非弾性X線散乱 / 角度分解光電子分光 / トンネル分光 |
Research Abstract |
本年度は、昨年度に引き続き、MgB_2型超伝導体CaAlSiにおける長周期構造と超伝導特性との相関をより詳細にかつ多角的に検証する為、以下に示す実験及び理論計算を行った。 1、各長周期構造に起因したSi原子配置における価電子バンドを理論・実験の両面から決定する為、超高分解能角度分解光電子分光及び電子バンド計算を行った。ここから長周期構造の有無によるバンド構造・フェルミ面の差異を明確に観測し、この系における磁気応答の異方性等を定性的に説明するに至っている。現在は超伝導ギャップの波数依存性等を調べるため低温測定を行っている。 2、本系におけるフォノン分散関係を決定する為、高分解能非弾性X線散乱、ラマン散乱及び第一原理計算を行った。現在のところ長周期構造を持たないCaAlSiに関しては、波数空間内全ての高対称方向に対してフォノン分散を決定している。一方、本系における電子格子相互作用機構はMgB_2とは異なり、非常に低エネルギーのフォノンが電子系と強く結合している事が判明している。 3、超伝導ギャップの構造及びサイズをよりミクロに観測するため試料破断法を用いたトンネル分光測定を行った。得られたトンネルコンダクタンスはシングルギャップのBCS超伝導体を仮定する事で再現可能であり、MgB_2のような多重ギャップは観測されていない。また長周期構造の有無によるギャップサイズは定性的に比熱測定の結果と一致し、Al/Siの電子軌道に対してペアリング定数が依存する事からもAl/Si層が織りなす電子状態が超伝導発現に重要な役割を果たしている事が理解できる。 現在迄の研究で、本系における超伝導発現機構のメカニズムはおおよそ理解されてきた。今後としては長周期構造の原因ともなっているAl/Si層の不安定性の発現原因を調べるとともに、それら「周期性」と超伝導特性との関連をより詳細に検証していく予定である。
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Research Products
(1 results)