2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05J03063
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
黒岩 壮吾 Aoyama Gakuin University, 理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ケイ素化合物 / 超伝導発現機構 / 長周期構造 / 非弾性X線散乱 / 角度分解光電子分光 / μSR / 第一原理計算 |
Research Abstract |
本年度は昨年度に引き続きMgB_2型超伝導体CaAlSiにおける長周期構造と各種物性との相関関係を調べ、超伝導発現機構を解明する事を目的とし以下に示す様々な実験及び理論計算を行った。 1、角度分解光電子分光測定から本系のバルクな超伝導ギャップはその超構造の周期性に関わらず、ブリルアンゾーン端であるM点近傍で開いている事が判明した。さらに第一原理バンド計算からは長周期構造の導入によりM点近傍のフェルミ面が三次元から二次元構造へと変化する事が分かっている。両者の結果を照らし合わせる事で、本系CaAlSiの長周期構造の有無による磁気応答の異方性の差異を説明するに至っている。 2、本系における超伝導発現機構を明らかにするため、低温(〜10K)から室温までの広い温度領域において非弾性X線散乱実験を行った。その結果、超伝導発現機構に関連する低エネルギーフォノンモードが低温でソフト化する事が判明し、そのフォノンに対する電子格子相互作用を考慮する事で、CaAlSiの超伝導転移温度を再現できることが分かった。つまりMgB_2では高エネルギーの面内振動フォノンが超伝導発現の起源であるのに対し、CaAlSiはソフトフォノンによって誘起された超伝導体であるという事が言える。 3、超伝導ギャップの構造及びサイズに関してはトンネル分光測定、角度分解比熱測定、μSR測定及び角度分解光電子分光測定から多角的に概観した。結果として長周期構造の導入による対相関の増強は、それらペアリングが起きている電子バンドの次元性が大きく関与しており、長周期構造の有無と電子格子相互作用定数との相関関係が明らかとなった。 以上の事から本系における長周期構造とその背後にある超伝導機構の全容はほぼ解明され、MgB_2との比較対象物質として確立したと言える。
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Research Products
(10 results)