2006 Fiscal Year Annual Research Report
交差するDブレイン系におけるタキオン凝縮とその現象論的応用
Project/Area Number |
05J03141
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Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
長岡 悟史 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | 行列模型 / Dブレーン / 非可換ゲージ理論 / ゲージ / 重力対応 |
Research Abstract |
弦理論は、自然界の物理法則を記述する4種類の相互作用全てを含み、さらには時空の構造をも導き出せる理論であると考えられており、ここ数年はその非摂動的な側面が盛んに研究されている。しかし、時空や標準模型などを自然に導き出すには、現時点での非摂動効果の理解では不十分であるものと思われ、その更なる探求が必要とされている。その具体的なアプローチの手法は人それぞれ様々であるが、Dブレーンと呼ばれる高次元に拡がった非摂動的な物体が構成されて以来、Dブレーンの性質の理解---基本的構成要素として捉えたときの定式化の方法などその基礎的な性質からその現象論的な応用方法に至るまで---が一つの中心的課題となってきている。以上のような状況を念頭において、高次元のD(3)ブレーンがどのように我々の宇宙を記述し得るのかを明らかにすることを目指して研究を行なってきた。 弦理論から4次元重力理論を導き出すにはさまざまな困難が存在し、その解決方法としてさまざまな可能性が模索されている状況である。我々はタイプIIB行列模型によるDブレーンの定式化という立場から、その上の有効理論として現れる超対称非可換ゲージ理論に注目して解析を行なった。非可換ゲージ理論にはゲージ/重力双対性に基づいた双対な重力理論が存在することが知られている。我々は重力モードのGreen関数が非可換スケールでNeumann型境界条件を課すことにより、1/(運動量)^2となることを示した。この結果はブレーン上に局在していると解釈できる4次元的に振舞う重力子の伝播関数の存在を示唆している。また、このことは非可換ゲージ理論におけるゲージ/重力双対性が非可換スケールで評価されるべきであることを意味している。この研究は北澤良久氏(KEK)と共同で行なった。
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Research Products
(1 results)