2006 Fiscal Year Annual Research Report
障害者に対する態度変容プロセス把握とそれが住民のQOLに及ぼす影響の検証
Project/Area Number |
05J03159
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Research Institution | Research Institute, National Rehabilitation Center for Persons with Disabilities |
Principal Investigator |
八巻 知香子 国立身体障害者リハビリテーションセンター研究所, 障害者福祉研究部, 特別研究員(PD)
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Keywords | social inclusion / stigma / mental disability / social capital / QOL / disaster preparedness |
Research Abstract |
本研究は、北海道浦河郡浦河町において精神障害者の当事者グループである「浦河べてるの家」をはじめとする障害者・要援護者に対する地域住民の態度が、防災をテーマとする介入プロジェクトの経過に伴って変化するのかどうかを明らかにするものである。 1)防災や障害のある人との共生に対する住民の意向調査研究の実施 地域自治会への具体的な介入以前の状態として、18年度に協力を呼びかけた2つの自治会(自治会A160戸,B210戸)において防災意識障害のある人との日ごろの交流や共生に関する全戸悉皆意識調査を行った。自治会Aは精神障害者の共同住居が多い地域、自治会Bは精神障害者の共同住居はなく、自治会活動が町内でもっとも活発な地域である。精神障害者の共同住居や作業所がしばしば地域の反発を招くとされるのに対し、自治会AとBの間では住みやすさ指標(ソーシャルキャピタル尺度を使用)の差は見られなかった。また同自治会での要援護者を抱える世帯割合、津波被害への意識等の調査結果について、それぞれの自治会主催にて行った防災学習会においてフィードバックし、住民の合意形成に役立てた。 2)浦河べてるの家に対する地域住民の意向に関する面接調査の補足調査と学会報告 これまでの質的調査結果より、地区、設立からの時期、入居者の特性等により、浦河べてるの家およびその共同住居に対する態度が異なることが示唆されていたが、これらの傾向の差異を明らかにするための補足調査を行った。浦河べてるの家の理念が住民に認識されるきっかけとして、トラブルが発生したときの対処方法がひとつの特色であるということが仮説として示されたため、新たにトラブルが生じる都度、当事者およびスタッフへの聞き取り調査を行った。この知見については、保健医療社会学会、Disability Studies Associationにて報告した。
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