2005 Fiscal Year Annual Research Report
社会不安障害患者の生理的反応に対する認知の歪みに関する研究
Project/Area Number |
05J03170
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Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
金井 嘉宏 北海道医療大学, 看護福祉学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 臨床心理学 / 社会不安障害 / 認知行動療法 / 認知モデル / 不安障害 / 社会恐怖 |
Research Abstract |
交付申請書に記載した本年度の研究実施計画を着実に実施した。申請者の研究内容は,対人場面で強い不安を感じ続ける精神疾患である社会不安障害の症状が,どのように維持されているかを明らかにすることである。申請者は,社会不安障害の症状維持モデルとして欧米で提唱されている認知モデルに注目し,わが国の社会不安障害に適用できるか検討した。具体的には,社会不安障害患者は対人場面で手や声の震え,発汗などの生理的反応の変化を経験する。周囲からみるとそれほど震えているようにみえなくても,社会不安障害患者は震えているのが他者に気づかれる程度を過剰に解釈し,不安を強めてしまうことが特徴としてあげられている。この解釈バイアスと社会不安障害症状の因果関係を調べるために,解釈バイアスを修正する治療技法であるビデオフィードバックを行う群と行わない群に社会不安を示す大学生25名を無作為に群分けし,実験を行った。その結果,ビデオフィードバックを行うことによって,解釈バイアスを修正できるとともに,対人場面における予期不安が弱まることが明らかにされた。この研究結果は,社会不安障害患者を治療するときに解釈バイアスを治療ターゲットとして選択できることを示すとともに,解釈バイアスへの介入方法としてビデオフィードバックが選択肢としてあげられることを示している。この研究の成果は米国の行動療法・認知療法学会で発表され,「Elsie Ramos Memorial Student Research Award」を授賞した。 また,ビデオフィードバックの効果が社会不安障害患者を対象としてもみられるかどうかを調べるために,社会不安障害患者2名に対して,ビデオフィードバックを含む集団認知行動療法を行った。その結果,ビデオフィードバックが有効である患者と有効ではない患者がいることが明らかにされた。
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Research Products
(1 results)