2007 Fiscal Year Annual Research Report
新しいタイプのシアン耐性キノール酸化酵素を標的とするシャーガス病治療薬開発
Project/Area Number |
05J03183
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
鈴木 光子 Nagoya City University, 大学院・医学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | クルーズトリパノソーマ / シアン耐性キノール酸化酵素 / ミトコンドリア / 電子伝達系 / シャーガス病 |
Research Abstract |
1.クルーズトリパノソーマ原虫キノール酸化酵素の酵素学的解析 クルーズトリパノソーマ原虫ゲノムに見いだした新しいタイプのシアン耐性キノール酸化酵素(TcrAOX)について、酵素活性の詳細な検討を行うため、リコンビナントTcrAOX(rTcrAOX)を作成し、大量調製系構築の条件検討を行った。その結果、rTcrAOXを大腸菌で発現させる際、内在性のシトクロームbo、bd活性を除去した(Δbo, Δbd)大腸菌を用いることにより、大腸菌の末端酸化酵素活性はすべてrTcrAOX活性に依存する系の作製に成功した。大量培養を行った大腸菌の膜画分を回収し、ユビキノール酸化活性を測定した結果、ユビキノール酸化活性が見られた。従って、rTcrAOXはユビキノール酸化活性を有していることが明らかとなった。さらに、阻害剤を用いた解析により、これまでのAOXの常識を覆して、その活性はシアン感受性であることが初めて明らかとなった。 2.クルーズトリパノソーマ原虫におけるTcrAOXの強制発現 昨年度までに、クルーズトリパノソーマ原虫の全てのライフステージでTcrAOXが発現していることが明らかとなった。そこで、原虫におけるTcrAOXの生物学的機能を解析するため、原虫で過剰発現させるためのプロモーターを組み込んだpTEXベクターにTcrAOXを組み込み、エレクトロポレーションによりエピマスティゴートに導入した。薬剤によるセレクション後、原虫を回収し、TcrAOX遺伝子特異的なプライマーを用いたRT-PCT、また、TcrAOX特異抗体を用いたウェスタンブロッティングにより、発現の上昇を確認した。強制発現原虫のミトコンドリア画分を精製し、ユビキノール酸化活性を測定した結果、コントロールと比較して2.5倍のユビキノール酸化活性が見られた。その値は、過剰発現したTcrAOXタンパク質量の差とほぼ一致しており、今回見られたユビキノール酸化活性が過剰発現したTcrAOXタンパク質によるものであることを示していた。また、TcrAOXを過剰発現した原虫において、その増殖曲線を作成したところ、エピマスティゴート、トリポマスティゴート両ステージにおいて、野生型(WT)との有意な差は認められなかった。そこで、強制発現されるTcrAOXタンパク質の量をさらに過剰にするため、タンパク質への翻訳をさらに促進する新たなベクターを構築し、エレクトロポレーションにて導入した。現在、過剰発現原虫の回収作業を進めている。
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Research Products
(1 results)