2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05J03238
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
石井 剛志 京都府立医科大学, 医学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 酸化ストレス / プロテオーム / 蛋白質カルボニル / プロテアソーム / 脂質過酸化物 / マロンジアルデヒド |
Research Abstract |
蛋白質カルボニルは、病態組織における検出が最も進んでいる酸化修飾であり、多くの疾患との関連が示唆されている。その一方で、細胞機能の低下や細胞死を説明しうるような致命的な標的はほとんど見つかっておらず、疾患の進展・発症にどのように関わるのかは不明である。そこで蛋白質カルボニルの標的蛋白質を明らかにするために、プロテオーム解析を行った。その結果特異的な標的蛋白質として、プロテアソーム構成因子である19Sプロテアソームサブユニット6(S6ATPase)を同定した。また、精製した26Sプロテアソームにおけるin vitro酸化においても、S6-ATPaseが酸化修飾の標的であることを示した。さらに、S6-ATPaseの酸化に伴うATPase活性の低下が認められ、それに伴う26Sプロテアソーム機能の低下が確認された。また、S6-ATPaseの発現抑制により、ユビキチン化蛋白質の蓄積が認められた。これらの結果から、S6-ATPaseがプロテアソーム複合体における酸化修飾の標的であり、蛋白質ターンオーバーを負に制御する主要な蛋白質酸化変性であることを示した。 また、蛋白質カルボニルの生成を引き起こす代表的な脂質過酸化物であるマロンジアルデヒド(MDA)を用い、蛋白質修飾機構に関する詳細な解析を質量分析法により行った。その結果、蛋白質中のリジン残基およびN末端のアミノ基にカルボニル構造を有するN-プロペナールおよびジヒドロピリジン(DHP)付加体が生成することを明らかにした。さらに、抗-MDA修飾蛋白質抗体がジヒドロピリジンリジンを認識することを明らかとし、DHPが動脈硬化病巣に蓄積することを明らかとした。 以上の研究結果より、蛋白質カルボニルの生成が細胞機能を制御し、病変発祥に寄与することが強く示唆された。
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Research Products
(4 results)