2005 Fiscal Year Annual Research Report
カンジダの細胞壁合成酵素阻害薬に対する薬剤耐性機構の解析
Project/Area Number |
05J03292
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
平井 明香 日本大学, 生物資源科学部, 特別研究員(DC2)
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Keywords | Candida albicans / 薬剤耐性機構 / β-グルカン合成酵素阻害薬 |
Research Abstract |
近年、日和見真菌症患者から抗真菌薬耐性株が頻繁に分離されているが、新規の抗真菌薬である細胞壁β-グルカン合成酵素阻害薬(ミカファンギン;MCFG)に対する耐性機構については十分に検討されていない。そこでMCFG耐性機構を明らかにするために、日和見真菌症の原因菌として一般的なCandida albicansを用いて、MCFG感受性株を親株とするMCFG特異的耐性株を分離し、MCFGの標的酵素であるβ-グルカン合成酵素をコードする遺伝子(GSC1)の変異がMCFG耐性に関与にしているかどうか検討した。 1.MCFG耐性株を複数分離し、それらのGSC1の塩基配列を解析した。その結果、片方のアレルにおいてF641C、S645FまたはR1361Sのいずれか1箇所のアミノ酸変異が認められた。 2.耐性株において変異アレル(耐性アレル)または変異のないアレル(感受性アレル)をそれぞれ破壊し、作製した各破壊株のMCFG感受性を検討した。その結果、耐性アレルのみ有する株は親株である耐性株よりもさらに高度耐性を示し、一方感受性アレルのみ有する株は感受性を示した。 3.プラスミドベクターを用いて耐性アレルを感受性株に、または感受性アレルを耐性株に導入して発現させ、MCFG感受性を検討した。その結果、ベクラターのみを導入した対照株と比較して、耐性アレルを導入した親株では感受性に明らかな差がみられなかったが、感受性アレルを導入した耐性株では顕著な感受性化が認められた。 以上のことから、GSC1の変異はMCFG耐性に関与しており、これによりC.albicansはMCFGに耐性化することが分かった。また、耐性に関与するアミノ酸変異が起こる箇所は数箇所あり、それらのいずれが1箇所のアミノ酸変異により耐性が生じると考えられた。
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