2005 Fiscal Year Annual Research Report
スフィンゴミエリナーゼが有する殺虫活性の発現機構の解明
Project/Area Number |
05J03305
|
Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
西脇 寿 近畿大学, 農学部, 特別研究員(PD)
|
Keywords | Bacillus cereus / スフィンゴミエリナーゼ / パッチクランプ法 / ホスホリルコリン |
Research Abstract |
Bacillus cereusが菌体外に分泌している酵素であるスフィンゴミエリナーゼCを昆虫体内に注射投与すると、その昆虫は体全体が即効的に麻痺し、その後死に至る。以前の研究成果から、この酵素のリン脂質加水分解能がこのような即効性の麻痺症状を引き起こすために重要な役割を果たしていることを明らかにしている。本研究ではこの酵素が昆虫に即効的に麻痺症状を引き起こすことから、スフィンゴミエリナーゼの基質加水分解物が昆虫神経系に作用すると推測した。 スフィンゴミエリナーゼは基質であるスフィンゴミエリンをホスホリルコリンとセラミドとに加水分解する。そこで本年度は、はじめにこれら加水分解産物のひとつであるホスホリルコリンに焦点を絞り、この物質が昆虫神経細胞におよぼす生理学的影響を電気生理学的手法のひとつであるパッチクランプ法を用いて明らかにすることを試みた。その結果、ホスホリルコリンを処理した神経細胞には高頻度の電気応答が認められることが示された。さらに、この神経細胞の応答が生じる原因を詳細に検討した結果、ナトリウムイオンコンダクタンスの上昇により引き起こされていることが判明し、イオンチャネルが関与していることが示された。今後、この知見をもとに放射性同位元素で標識した各種神経作動性リガンドを用いて競合的結合阻害実験をおこなうことにより、ホスホリルコリンが相互作用する受容体を精査していくことを試みる。
|