2006 Fiscal Year Annual Research Report
リボザイムライブラリーを用いたカドミウム誘導性細胞死に関与する因子の探索
Project/Area Number |
05J03326
|
Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
西躰 元 東京女子医科大学, 医学部, 特別研究員(PD)
|
Keywords | カドミウム / MAPキナーゼ / ES細胞 / HSP70 / SEK1 / MKK7 / JNK / p38 |
Research Abstract |
カドミウム曝露に対する細胞応答や適応の分子機構については、未解明な部分が多く残されている。 平成17年度、MAPキナーゼ(mitogen-activated protein kinase)ファミリーに属するJNK(c-Jun N-terminal kinase)の活性化因子として知られるSEK1とMKK7を共に欠失したマウス胚性幹(ES)細胞において、カドミウム曝露による熱ショック蛋白HSP70の発現誘導が抑制されることを見出した。 今年度、HSP70発現誘導におけるMAPキナーゼの関与について更なる解析を行い、以下の知見を得た。 (1)SEK1・MKK7両欠失ES細胞におけるカドミウム曝露による各MAPキナーゼの活性化を調べたところ、JNKのみならず、p38およびERK(extracellular signal-regulated kinase)の活性化も著しく抑制された。 (2)SEK1・MKK7両欠失ES細胞におけるHSP70発現誘導の抑制が、どのMAPキナーゼアイソフォームに依存しているのかを明らかにするため、RNA干渉によるノックダウン法を用いて検討した。各MAPキナーゼファミリーの全てのアイソフォームに対するsmall interfering RNAを野生型ES細胞に導入し、HSP70発現レベルを測定した。その結果、p38α、JNK1、JNK3のsiRNAを導入したES細胞においてはHSP70発現誘導の抑制が見られたのに対し、p38β、p38γのsiRNAを導入したES細胞においてはHSP70発現誘導の増強が認められた。 以上の実験から、カドミウム曝露ES細胞において、SEK1およびMKK7はJNKのみならずp38とERKの活性化にも関与していること、さらに、HSP70発現誘導は各MAPキナーゼアイソフォームおよびMAPキナーゼキナーゼによる複合的な制御がなされていることが示唆された。
|