Research Abstract |
2005年度は,Polycystinea綱2種,Phaeodarea綱3種,また,放散虫に共生する藻類4種の18S rDNAの塩基配列解析を行った.これらを用いて,真核生物内での放散虫の系統関係を調べたところ,Polycystinea綱はAcantharea綱と単系統を形成したが,Phaeodarea綱はその単系統には分岐せず,Cercozoaに属する種とともに単系統を形成した. さらにPolycystinea綱はAcantharea綱の関係を詳しく調べると,Polycystinea綱Spumellarida目の群体性と無殻単体性種は同じくPolycystinea綱のNassellarida目と,Spumellarida目のうちの有殻単体性種はAcantharea綱とそれぞれ単系統を形成した.KH testおよびSH testを用いてこの結果を検定してみると,(1)Spumellarida目の群体性と無殻単体性およびNassellarida目,(2)Spumellarida目の有殻単体性,(3)Acantharea綱の少なくとも3つのグレードに分けられることが指示された. Phaeodarea綱については,遊走子の鞭毛の数や殻の形態的な特徴など,Cercozoaに属する種との類似性が見られること,また,Polycystinea綱については,Acantharea綱の殻と同成分のSrSO_4を含む遊走子をつくることなど,Acantharea綱との類似性が指摘されている(Anderson,1983).このことから,主に形態や殻の物質で行われてきた放散虫の分類に,分子の結果を加え,分類体系を見直す可能性があると考える. また,分子解析を用いてハプト藻とプラシノ藻,渦鞭毛藻類が共生していることを確認した.さらなる研究が必要だが,放散虫は種特異的に藻類と共生している可能性があると考えられる.
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