2005 Fiscal Year Annual Research Report
現代の若年層を取り巻く社会環境の変容に関する地理学的研究
Project/Area Number |
05J03371
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
杉山 和明 大阪市立大学, 大学院・文学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 社会地理学 / 政治地理学 / 文化地理学 / 若者 / 社会統制 / 犯罪 / 国際情報交換 / イギリス |
Research Abstract |
まず、社会文化学会の2005年度夏季研究集会において、新自由主義改革の進展と都市の治安対策、および青少年条例の改正の動きの連関について発表を行い、「底辺・周縁に生きる社会文化」を考えるための枠組について討議を行った。 また、人文地理学会誌『人文地理』の「日本における文化地理学の新しい傾向」を主題とした英文特集号に論文が掲載された。この論考では、1990年代の若者に関連した社会問題についての以前の調査と、最近の新自由主義的な社会統制をめぐる動向から、現代日本における若者問題と都市社会統制の関連を説明した。英語圏の批判地理学において近年盛んになっている、犯罪と社会統制、問題視される若者の表象の社会的構築に関する諸研究を参照しながら、日本の社会的文脈において特定の問題から派生したモラルパニックを議論し、このローカルな過程が、リージョナルからナショナル・スケールに至る都市社会統制の最近の動向と密接に関連していることを示した。それは、近年の保守的な若者政策の前兆であり、現代日本における地域に根差した社会統制にも引き継がれていると考えられる。 その他の実績としては、海外フィールド・ワークとして、若年層の地理学的研究において最も多くの蓄積があるイギリスの研究状況を把握するためロンドンに滞在した。現地では、文献・資料収集および商業地区の観測を行い、現在のイギリス社会においてさまざまな階層の若者がいかなる現実を生きているのかを把握し、現地の研究者との意見交換を図った。
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Research Products
(1 results)