2005 Fiscal Year Annual Research Report
量子および古典スピン系の非線形ダイナミクス:エネルギー拡散と散逸構造の研究
Project/Area Number |
05J03388
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
工藤 和恵 大阪市立大学, 大学院・工学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 量子スピン系 / エネルギー拡散 / 非線形非平衡 / スピン波 / 散逸構造 |
Research Abstract |
量子スピン系の動的特性を研究するため、エネルギー拡散およびフィデリティ(fidelity)という量を調べた。次近接相互作用を含む量子XXZスピン鎖に時間変化する外部磁場を加えた模型を用い、基底状態を初期状態として時間発展を計算し、その性質を調べた。この模型の静的特性としては、すでに準位統計の研究を行っていたので、その結果との比較も行った。エネルギー拡散については、数値計算による手法を用い、磁場の強さや変化率、フラストレーションの強さなどを調整して線形応答領域、非摂動論的応答領域でのダイナミクスの性質の違いを示した。フィデリティについては、よく似た量としてsurvival probabilityを解析的に研究し、また数値的な計算も行った。エネルギー拡散での研究結果の比較から、同じ無摂動系の模型であっても、摂動として加える磁場の性質によって動的特性が異なることがあるということが明らかになった。時間的にも空間的にも周期的な磁場を加えたエネルギー拡散の研究では、フラストレーションの強さに依存した動的特性の変化が見られた。一方で、時間的には周期的だが空間的にはランダムな磁場を加えたsurvival probabilityの研究では、フラストレーションの強さにはほとんど依存しない結果が得られた。 古典スピン系として、磁性体の散逸構造に関しては、強磁性体薄膜での磁気共鳴によるスピン波不安定性の研究を行った。印加する磁場を薄膜に対して傾けた場合の不安定性閾値の変化について理論的考察を行った。
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Research Products
(2 results)