2007 Fiscal Year Annual Research Report
量子および古典スピン系の非線形ダイナミクス:エネルギー拡散と散逸構造の研究
Project/Area Number |
05J03388
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
工藤 和恵 Osaka City University, 大学院・工学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 量子スピン系 / パターン形成 / 磁区パターン / ダイナミクス |
Research Abstract |
磁性体の散逸構造の研究では、強磁性薄膜における磁区パターン形成の数値シミュレーションを行い、磁場掃引速度(クエンチ速度)と一軸異方性へのパターンの依存性を考察した。そして、磁場掃引速度から磁区パターンの特徴(海島構造か迷路構造か)を大まかに区別するための基準となるパラメタを提案した。また、振動磁場を印加した場合の磁区パターンの中で、振動磁場の周波数よりずっと遅い速度で並進するパターンについて、解析的な研究も行った。変数を急激に振動する部分とゆっくり変化する部分に分け、遅い変数の従う方程式を、2つの異なる方法で導いた。その2つの異なる方程式に対して、パターンの安定性を調べ、理想的な並進パターンが出現する条件について議論した。 量子スピン系のダイナミクスの研究では、強磁性的量子ハイゼンベルク模型を1粒子的に扱った場合のスピンの実空間でのダイナミクスを調べた。具体的には、下向きスピンが一つの場合について、その下向きスピンの実空間での存在確率分布の時間発展を数値的に計算した。そのダイナミクスの様子を、対応する古典模型から位相空間の図を調べることで、説明することができた。あるパラメタの組み合わせで、古典位相空間上に狭いトーラスの束ができる。それに対応するところに初期の量子スピン波束を置くと、その波束はあまり広がることなくかなりの長時間、スピン鎖の上を走り続けることが分かった。また、量子情報の分野で話題となっているエンタングルメントについても計算し、量子情報の転送という面でもメリットがありうることを示した。
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Research Products
(8 results)