2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05J03395
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
武政 誠 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 糖鎖 / NMR / AFM |
Research Abstract |
生体高分子の中でも、自己組織化のメカニズムの研究が未だ進んでいない糖鎖を対象として、精緻な研究を進めた。直鎖状の構造と、環状構造において、重合度が糖鎖のRg (radius of gyration)に及ぼす影響を詳しく調べた。分子量1万以下、光散乱では測定できない領域のRgを、迅速に測定することが可能な手法(HPLC-SAXS)を開発した。 ノルウェー工科大学(NTNU)に渡航して、NMR測定によりxanthan-galactomannan等の、多糖類同士の相互作用がどの部位で起きているのかを調べた。Cryoプローブを利用した高感度測定を行うことで、多糖類に関しても立体構造を検討することが可能であることが分かった。また、原子間力顕微鏡のプローブに多糖類を化学結合させ、相互作用を調べたい別の分子(異種類の多糖類、または分子量のことなる多糖)に、プローブごと接触させ、分子2本の間に働く力を直接測定することに成功した。環状アミロースと、界面活性剤との包摂化合物形成機構を、アミロース側の重合度に注目して研究した。重合度が、一つ異なるだけで、分子のコンフォメーションが大きく変わることを、NMRで確認し、動的な構造について考察した。このような例はオリゴ糖(通常10糖以下)以外では珍しく、25〜50糖においても、このような現象は、生体高分子の自己組織化の新しい手法になりえると言える。 スウェーデン、ルンド大学に渡航し、上記の、特定の環状アミロースのみが安定な立体構造をとることを利用して、セルロース誘導体との包摂により、系をゲル化できることを見出した。分子のコンフォメーションを、重合度一つの違いでコントロールし、それが計全体の粘度を桁で変化させることができることを示した。
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