2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05J03395
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
武政 誠 Osaka Prefecture University, 大学院・生命環境科学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 糖鎖 / 高分子 / X線小角散乱 / 光散乱 / 希薄溶液物性 |
Research Abstract |
糖鎖は、その自己組織化機構の解明が、生体高分子の中でも比較的遅れているが、環境面や生体適合性だけでなく、元来有する機能性を生かすために注目して研究を行う必要がある。糖鎖と相互作用する分子を混合することで、糖鎖ベースの超分子を構築してその物性を調べた。超分子構築には、構成要素となる分子の詳細な分子特性を知り、それを元にして各種条件を制御する必要があるが、その作成と分析が困難であった。昨年度から行っている手法の開発に引き続き取り組んだ。作成には主にSEC及びODSカラムを利用した分取クロマトグラフィー方式を用いた。従来、この方式では大量のサンプル作成が著しく困難であった、昨年度から開発していた、分取及び濃縮の自動化システムが完成し、大量のサンプルを作成可能になった。各サンプルの分子特性を明らかにするべく、希薄溶液物性を調べた。市販のSEC-MALLSに加え、固有粘度計、及び昨年度開発した、HPLC-SAXSを組み合わせることで、各種多糖を対象として、3.5桁を超える広い分子量範囲において、重量平均分子量、回転半径、固有粘度等を評価し、山川らの螺旋みみず鎖モデルで解析し、剛直性他の各分子特性値を得た。糖鎖の分子量の最適化により、糖鎖との相互作用による超分子の構造制御により、巨視的な物性をコントロールする研究を進めた。分子量が1万以上の高分子においても、糖鎖の重合度を1変えるだけで、巨視的な物性(例えば粘度)を数十倍〜数百倍も制御することが可能であった。これまで不可能だったサンプル作成法及び開発した手法によって、初めて明らかになった現象である。従来、高分子においては、単分散性の重要性は比較的低いと考えられてきたが、超分子構築に際しては、真に単分散であるサンプルの重要性が明らになり、超分子の構築の指針が新たに得られたと言える。
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