2006 Fiscal Year Annual Research Report
戦後日本の都市のストリートをめぐる実践・管理・表象の文化・社会地理学的研究
Project/Area Number |
05J03436
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
山口 晋 大阪市立大学, 大学院文学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 都市の公共空間 / 都市再生 / 都市文化政策 / 東京 |
Research Abstract |
本年度は,東京都の文化政策で大道芸ライセンス制の「ヘブンアーティスト事業」を重点的に取り上げた。まずは事務局である東京都が,ストリートでの文化的実践を制度化していこうとするプロセスを取り上げた。その具体的な作業として,東京都議会や委員会の議事録を分析したほか,ヘブンアーティスト事務局へインタビューを行った。これらから明らかになったことは,事務局側はアーティストの活動を芸術支援というよりも,賑わい創出や集客のために利活用しようとしていることである。さらには,アーティストの活動に対してさまざまなルールを課していることが分かった。このような事務局側の管理の動きについて示した一方で,アーティストの空間的,文化的実践について取り上げた。アーティストはなぜライセンスを獲得しようとするのか,なぜ不満を持ちながらも活動するのか,などということについてインフォーマルインタヴューを駆使して示した。また,それから得られた「語り」を分析することによって,その実情をヴィヴィッドに記述した。これらから明らかになったことは,さまざまなルールなどが課せられるにもかかわらず,アーティストがこのライセンスを取ろうとしていることである。さらに,この事業に不満を持ちながらも,管理側と直接的に交渉することなく,活動していることが明らかになった。 このような一連の調査からすかし見えてきたものが,アーティストにとってのこの事業やライセンスは,彼/女らが活動するにあたってのひとつのメニューにすぎないということである。さらには,この事業は都市の集客や賑わい創出とのかかわりが強く,年を追うごとにイベント開催もされ,それが定期化し,増加していることを明らかにした。
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Research Products
(1 results)