2005 Fiscal Year Annual Research Report
分裂酵母における前胞子膜形成の分子メカニズムの解明
Project/Area Number |
05J03452
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
中村 道子 大阪市立大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 分裂酵母 / 胞子形成 / スピンドル極体 / 前胞子膜 / GFP |
Research Abstract |
胞子形成欠損株の1つであるspo7の解析を行った。原因遺伝子の取得をおこなったところ、spo7^+遺伝子は約1300アミノ酸からなるタンパク質をコードしていた。他の生物の既知タンパク質で相同性のあるものは見つからなかったが、Spo7タンパク質にはリン脂質との相互作用に関わるPHドメインを含んでいた。ノザン解析の結果、spo7mRNAは栄養増殖時はまったく発現が見られなかったが、第二減数分裂時に一過的に発現上昇が見られた。また、この発現上昇は減数分裂特異的転写因子Mei4に依存していた。GFPとの融合タンパク質を用いてSpo7タンパク質の局在を観察したところ、栄養増殖時には発現が見られなかった。しかし、第二減数分裂中期にスピンドル微小管の両端に発現が見られた。発現が見られた時期は第二減数分裂中期のみで極めて短い時間で消失した。また、分裂酵母の前胞子膜形成開始に必要な他のSPB因子との局在に関する依存性は見られなかった。Spo7遺伝子破壊株はもともとの変異株同様生育可能であったが、胞子形成に欠損が見られた。Spo7破壊株で前胞子膜形成を観察したところ、前胞子膜形成は全く起こらなかった。以上のことから、Spo7は前胞子膜形成開始に関わる新たなSPB構成因子であることがわかった。先にも述べたように前胞子膜のもととなる膜小胞を直接リクルートするタンパク質はまだわかっていないが、Spo7は脂質と親和性を持つモチーフを持っていることから、Spo7がこのキー因子である可能性が示唆される。
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