2007 Fiscal Year Annual Research Report
分裂酵母における前胞子膜形成の分子メカニズムの解明
Project/Area Number |
05J03452
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
中村 道子 Osaka City University, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 分裂酵母 / 胞子形成 / スピンドル極体 / 前胞子膜 / GFP |
Research Abstract |
分裂酵母の胞子細胞膜はスピンドル極体(SPB)が構造的に変化し、膜小胞が融合して新たに形成される。Spo7はSPBに局在し、前胞子膜形成開始に関わる新たな構成因子として取得した。Spo7は脂質の結合に機能することが知られているPHドメインを有していた。任意のタンパク質と脂質との結合を見るPIPストリップアッセイによりSpo7はホスファチジルイノシトール3リン酸(PI3P)と特異的な相互作用が見られた。PHドメインを欠失したspo7変異株では胞子を形成することが可能であったが、異常な形のものが見られた。この形質はmeu14変異株の形質と似ていた。Meu14は前胞子膜先端にリング状に局在し、前胞子膜形成が正常に伸長するために必要なタンパク質である。このタンパク質は第二減数分裂に核に現れ、いったんSPBに局在した後、最終的に前胞子膜先端に局在する。そこでSpo7とMeu14との関連を調べた。まず、Spo7はMeu14に先だってSPBに局在することがわかった。次にspo7破壊株でMeu14の局在を観察したところ、SPBに局在が見られなかった。逆にmeu14破壊株ではSpo7はSPBに局在した。Meu14とSpo7はYeast Two Hybrid法、免役沈降法、いずれも相互作用が見られた。このことから、Spo7はMeu14がSPBに局在するのに必須であることが明らかになった。PI3Pはホスファチジルイノシトール(PI)をPI3キナーゼがリン酸化することによって作られる。分裂酵母においてはPI3キナーゼとしてPik3が唯一知られている。pik3破壊株では異常な形の胞子が形成された。spo7のPHドメインを欠失させた変異株でもpik3破壊株と同じように異常な形の胞子ができた。以上のことから、Spo7は第二減数分裂にSPBに局在し、このときPI3Pと結合することによりMeu14と結合し、時空的に正確に前胞子膜形成を開始するのに働いている可能性が示唆された。
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Research Products
(2 results)