2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05J03483
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
有田 恭平 横浜市立大学, 国際総合科学研究科・学術振興会特別研究員, DC2
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Keywords | PAD4 / ヒストン修飾 / 慢性関節リウマチ / シトルリン化 / 構造生物学 |
Research Abstract |
タンパク質修飾酵素Peptidylarginine deiminase 4(PAD4)によるより詳細な基質認識機構を構造科学的な観点から解明するために、生体内での基質であるヒストンのN末端領域のペプチドとPAD4との複合体結晶を調製し、X線結晶構造解析を試みた。PAD4はヒストンH3,H4の複数のアルギニン残基(ヒストンH3のArg2,8,17,26,H4のArg3)をシトルリン化することにより、遺伝子発現の制御(エストロゲン応答遺伝子の転写の抑制)に関与していることが報告されている。今回は、ヒストンH3のアルギニン8(H3-1ペプチド),ヒストンH3のアルギニン17(H3-2ペプチド)、ヒストンH4のアルギニン3(H4ペプチド)をそれぞれ含む3種類のペプチド(10残基)を用いてPAD4との複合体構造解析をおこない、以下のことを明らかにした。 1)各々のヒストンペプチドはターゲットとなるアルギニン残基を含んで前後2残基、計5残基の電子密度が観測され、PAD4との相互作用にはこの5残基の領域が必要であることを明らかにした。2)PAD4とヒストンペプチドの相互作用は主にヒストンペプチドの主鎖の部分を介して行われており、その認識は非常にlooseであった。3)ヒストンペプチドのターゲットとなるアルギニン残基より2残基N末端側のアミノ酸残基(N-2)は、小さな側鎖を持つアミノ酸でないとPAD4と立体障害を起こすことを明らかにし、PAD4による基質のアミノ酸認識配列の特異性を明らかにした。4)PAD4によって認識されるヒストンペプチドの構造は非常によく似ており、その構造はβターン様の構造をとっていた。 本研究によりPAD4によるヒストンN末端の認識は、アミノ酸配列の特異性が非常に低いことを明らかにし、この配列特異性の低さが、PAD4が生体内でヒストンの複数のアルギニン残基をシトルリン化できる機構につながることを明らかにした。また、PAD4のようにヒストンのN末端をβターン様の構造に誘起するのは他のヒストン修飾酵素で観測されたことがなく、新しいヒストン認識機構であった。
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Research Products
(2 results)
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[Journal Article] Structural basis for histone N-terminal recognition by human peptidylarginine deiminase 42006
Author(s)
Arita, _K., Shimizu, T., Hashimoto, H., Hidaka, Y., Yamada.M., Sato, M
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Journal Title
Proceeding of the National Academy of Sciences of the USA, 103
Pages: 5291
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