2006 Fiscal Year Annual Research Report
粒子と量子場の相互作用系における束縛の強化の解析的研究
| Project/Area Number |
05J03551
|
| Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
宮尾 忠宏 岡山大学, 大学院自然科学研究科, 特別研究員(PD)
|
| Keywords | 数理物理学 / 場の量子論 / 関数解析 / 基底状態 |
| Research Abstract |
イオン結晶中の1電子を考える.電子は格子振動との相互作用を通してフォノンの雲をまとうことにより、有効質量が重くなることが知られている.このフォノンの雲をまとった電子のことをポーラロンと呼ぶ. 次にイオン結晶中の2つの電子を考える.2電子間には、(1)電子間クーロン斥力(2)フォノンとの相互作用による電子間引力の2種類の力が働く.フォノンによる引力がクーロン斥力に打ち勝つならば2つの電子はペアを作ると予想される.この2電子ペアのことをバイポーラロンと呼ぶ. これまでのバイポーラロンの研究は、物理学者の手で行われており、数学的な観点からは厳密性に欠けているという欠点があった.筆者はミュンヘン工科大学H.Spohn教授との共同研究を通して上に述べた物理的描増、つまりバイポーラロンの安定性を数学的に厳密に証明した.その結果は大雑把に述べると次のよう言える. (A)H(P)を全運動量Pをもつバイポーラロン系のハミルトニアンとする.このとき、Pがある程度小さいならばH(P)は基底状態を持つ.このPの範囲は系の束縛エネルギーによって特徴付けられる. (B)この系の束縛エネルギーの強結合領域における漸近極限を導出した.これはPekar-Tomasevich汎関数と呼ばれる量で記述できる. (C)上述(A)と(B)を組み合わせることにより、強結合領域では|P|<2ならば、H(P)は基底状態を持つ、つまりバイポーラロンは安定である.
|