2006 Fiscal Year Annual Research Report
B細胞の変異能力を応用するタンパク分子進化システムの構築
Project/Area Number |
05J03571
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
藤堂 景史 岡山大学, 大学院自然科学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | DT40 cell / evolutionary engineering / monoclonal antibody / somatic hypermutation / gene conversion / activation-induced deaminase |
Research Abstract |
ニワトリB細胞株DT40の抗体遺伝子座に自発的に誘導されるDNA組換えを利用して、抗体タンパク、または異種のタンパク分子の機能改変を行い、機能的タンパクを創製できるシステムを構築する試みを行ってきた。これまでに、DT40のDNA組換えメカニズムを人為的にON/0FFを厳密に制御できるような細胞株である、DT40-SW細胞を樹立した。また、DT40の内因性の抗体遺伝子のみでなく、外来のタンパク遺伝子においても変異の導入を誘発できることを示した。そこで本年度はこのDT40-SW株を利用し、タンパク分子の分子進化が実現できるかどうかを検討するために、DT40の内因性の抗体タンパク分子を分子進化のターゲット分子とし、任意の特異性を持つ抗体分子が分子進化によって作製可能であるかの検討を行った。 変異機能がONの状態で長期培養したDT40-SW細胞は、自らの抗体遺伝子に変異を誘発し続け、抗体遺伝子ライブラリーを構築することが期待できる。そこで変異機能がONの状態でおよそ1年半の間培養を続けることで、非常に多様なDT40-SW抗体ライブラリーを構築することができた。次に、構築した抗体ライブラリーから、モデル抗原であるハプテンNP(4-hydorxy-3-nitrophenylacetyl)に対する特異性を持つ抗体の取得を試みた。抗原を結合させたマグネティックビーズを用いることで、NPに結合できる細胞を単離することができ、その細胞の分泌する抗体の解析を行った結果、NPに対して高い特異性を有していることが分かった。 以上の事より、DT40細胞を利用することで、任意の特異性を持った抗体タンパクを取得することが可能であることが確認できた。これらを応用することで、任意のタンパク分子の機能改変により、機能的タンパク分子を創製できる分子進化システムを構築することが可能であることが示唆された。
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Research Products
(2 results)