2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05J03589
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
西村 亮 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ウシ / 黄体 / 黄体退行 / 低酸素環境 / プロジェステロン / アポトーシス / 発情周期 / ステロイドホルモン |
Research Abstract |
【目的】黄体退行時に黄体内の血流量が減少することはよく知られており,黄体退行時の黄体内は急激に低酸素環境に移行すると考えられる。本研究では,ウシの黄体退行機構における低酸素環境の役割を明確にする目的で,1.ウシ黄体細胞のプロジェステロン(P4)分泌機構、および2.アポトーシス誘導機構におよぼす低酸素環境の影響について検討した。 【方法】ウシ中期黄体細胞を通常(20% O_2)または低酸素(3% O_2)の気相条件下において培養し,以下の項目について検討した。 1.(1)培養上清中P4濃度およびプレグネノロン濃度(EIA), (2)P4合成調節因子(StAR, P450scc,3β-HSD)のmRNA発現(定量的RT-PCR) 2.(1)細胞死率(LDH assay),(2)caspase-3 mRNA発現(半定量的RT-PCR),(3)caspase-3活性,(4)核の凝集およびDNAの断片化(TUNEL-PI染色) 【結果】1.8時間以上の培養において,低酸素条件下でのP4分泌量およびP450scc活性は,通常気相下のものと比較して有意に低下した。また,低酸素条件下ではP450scc mRNA発現が有意に低下した。2.低酸素条件下において,黄体細胞の細胞死率,caspase-3活性およびmRNA発現は,通常気相下のものと比較して有意に増加し,DNAの断片化および核の凝集が認められた。以上より,低酸素環境はウシ黄体細胞のP4分泌の減少(黄体の機能的退行)およびアポトーシス(黄体の構造的退行)を誘導することが明らかとなり,血流の減少に起因する酸素量の低下が黄体退行を促進する一要因であることが示唆された。 この成果は、平成17年9月に静岡で開催された第98回に本繁殖生物学会において発表しするとともに、現在、米国の専門誌であるEndocrinologyにおいて査読中である。
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Research Products
(1 results)