2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05J03589
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
西村 亮 岡山大学, 自然科学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 低酸素環境 / ウシ / 黄体 / 黄体退行 / プロジェステロン / アポトーシス |
Research Abstract |
【目的】ウシにおいて、黄体退行時に黄体内の血流量が減少することが知られており、黄体退行時の黄体内は急激に低酸素環境(hypoxia)に移行していくと考えられる。申請者は既にこれまでの研究において、hypoxiaが機能的退行(プロジェステロン合成能の衰退)を誘導することを細胞培養系を用いて明らかにしてきた。この成果は、本年度9月、米国の専門誌であるEndocrinologyに掲載された。さらに申請者は1年目の研究において、hypoxiaが黄体細胞のアポトーシスを誘導することを示し、hypoxiaが黄体の構造的退行に関与する可能性を示唆した。本年度は、hypoxiaが黄体細胞のアポトーシスを誘導するメカニズムについて検討した。 【方法】ウシ中期黄体細胞を通常(20%O_2)または低酸素(3%O_2)の気相条件下において培養し、以下の項目について検討した。 (1)細胞死率(LDH assay),(2)核の凝集およびDNAの断片化(TUNEL-PI染色),(3)アポトーシス関連因子(Bcl-2,Bax,BNip3,caspase-3)のmRNA発現,タンパク発現(定量的RT-PCR, Western blotting)および活性 【結果】低酸素環境は黄体細胞の細胞死およびDNAの断片化を誘導するとともに、BNip3のmRNA発現とタンパク発現、さらにcaspase-3のmRNA発現および活性を増加させた。以上より、低酸素環境はBNip3を増加させ、さらにcaspase-3を活性化することにより、ウシ黄体細胞のアポトーシスを誘導することが明らかとなり、血流の減少に起因する酸素量の低下が機能的な退行だけでなく、構造的な退行をも促進する要因であることが示された。 この成果は、平成18年7月にネブラスカで開催された米国繁殖生物学会(SSR)および9月に名古屋で開催された日本繁殖生物学会において発表するとともに、現在、生殖科学の専門誌Biology of Reproduction(米国)に投稿するための準備中である。
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Research Products
(2 results)