2005 Fiscal Year Annual Research Report
うどんこ病菌の分泌するシグナル物質の同定と接触面における情報伝達に関する研究
Project/Area Number |
05J03591
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
藤田 景子 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | うどんこ病 / 植物病理学 / 感染生理 / 相互作用 / エステラーゼ / プロテオミクス / 免疫電顕 / Exstracellular material |
Research Abstract |
オオムギと病原菌オオムギうどんこ病菌(Blumeria graminis f.sp.hordei : Bgh)或いは非病原菌エンドウうどんこ病菌(Erysiphe pisi : Ep)胞子を用いてシグナル物質の存在及び生理活性等を解析し、以下の知見を得た。 大量のBgh胞子を蒸留水で洗浄し、胞子表面に存在する水溶性物質を回収した(胞子洗浄液)。このBgh胞子洗浄液(グルコース濃度0.1〜0.2mg/ml)で処理したオオムギ子葉鞘細胞上のBghは、未処理の子葉鞘上よりも感染率が高くなる傾向が認められ、さらに本来感染不能な非病原菌Epは感染可能になった。しかし、3mg/mlで処理するとBghの感染は抑えられた。これらから、Bghの胞子表面には感染の成否に関わる少なくとも2種のシグナル物質が存在し、その量比によって影響を受けることが推察された。 シグナル分子の同定をめざし、まず胞子洗浄液中のタンパク質の網羅的解析に着手した。胞子洗浄液には大量の糖が含まれていることが判ったので、タンパク質の抽出並びに分離方法を確立した。その結果、Bgh或いはEpからそれぞれ約120スポットを検出した。分離したタンパク質をTOF-MS/MSで解析して、エノラーゼとカタラーゼを同定した。引き続き残りのスポットの同定を進めている。 一方、Bgh胞子からエステラーゼが分泌される。そこで、オオムギ子葉鞘に接種したBgh胞子からエステラーゼが分泌されるか否か、またいつ・どこに分布するのかという点について免疫電顕で調べた。エステラーゼはBgh胞子の細胞壁に多量に存在したが、接種後0.5〜1時間目で胞子と子葉鞘との間の液状物質中及び子葉鞘細胞壁に検出された。このことから、胞子接触後1時間以内に、胞子から液状物質を介してエステラーゼを含むシグナル物質が子葉鞘に移行すると考察した。
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Research Products
(5 results)