2007 Fiscal Year Annual Research Report
第一遷移金属-希土類金属系多核錯体の構造制御に基づく単分子磁性体の構築
Project/Area Number |
05J03601
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
山口 友佳 Okayama University, 大学院・自然科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 3d-4f多核錯体 / 単分子磁性体 / 金属錯体 / 構造制御 / 磁性 |
Research Abstract |
単一の分子でありながらバルク磁石の振る舞いをする単分子磁性体は、高密度記憶素子を可能とするだけではなく、量子コンピュータ素子への応用開発にもつながるため大きな期待が寄せられている。単分子磁性体となるためには、分子が大きなスピン量子数の基底状態をとり、かつ、大きな磁気異方性を示すことが必要である。このような条件を満足する分子系として従来の3d金属クラスターから、ここ2年ほどの間に3d-4f系の多核錯体に興味が移りつつある。しかし、合成上の困難さのため、3d-4f系化合物を用いて単分子磁性体創製を目指した研究は最近までほとんどなかった。私は、錯体配位子法を用いる普遍的な3d-4f系2、3、4核錯体の合成法を確立した。この手法を利用して合理的な分子設計に基づく新奇の3d-4f系単分子磁性体の創製を目的として研究を開始した。 当初、3個のフェノール基を含む三脚型六座配位子(H3La)を用いた。錯体配位子法により得られた2核NiII-DyIII錯体([(NiLa)Dy(hfac)2]は、弱いながらも単分子磁性体の特徴である交流磁化率の周波数依存性を示した。しかし、この錯体系には、錯体配位子である[Ni(La)]-のフェノール性酸素の架橋能力が比較的弱いため、最も興味深い3核錯体、NiII-LnII-NiIIの合成が容易ではなく、さらに、結晶構造を検証したところ、分子間にπ-πスタッキング相互作用が存在し、単分子磁性体となることを阻害しているという問題点が明らかになった。そこで、H3Laのベンゼン環の3位にメトキシ基を導入することにより、配位原子として酸素を好むLnIIIとの親和性を高めた。その結果、目的とした3核錯体を合成できたばかりでなく、立体効果により分子間の相互作用も除去することに成功した。このCo-Ln-Co3核錯体(Ln=Gd,Tb,Dy)は、いずれも交流磁化率の周波数依存性を示し、単分子磁性体となっていることが明らかになった。また特にCoTb錯体では強い強度のシグナルが得られた。 本研究では4種のタイプの3d-4f系多核錯体の合成法を確立した。さらに配位子を改良し、用いる金属の組み合わせを変えることによって単分子磁性体としての性質を向上させることに成功した。
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[Journal Article] Preparation, Structures, and Thermal Reactivity of Alkoxycarbonyl (cyano) palladium (II) Complexes trans-Pd (COOR) (CN) (PPh3) 2 (R=Me, Et, nPr, iPr, nBu, tBu, and Bn) as Intermediates of the Palladium-Catalyzed Cyanoesterification of Norbornene Derivatives2007
Author(s)
Y, Nishihara, 他
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Journal Title
Organometallics
Pages: 4054-4060
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