2007 Fiscal Year Annual Research Report
グルタミン酸による膵臓ランゲルハンス氏島の血糖調節制御の膜分子基盤に関する研究
Project/Area Number |
05J03603
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
越後 典子 Okayama University, 大学院・医歯薬学総合研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | グルタミン酸 / VGLUT / ノックアウトマウス / トランスポーター / ATP / 骨粗鬆症 |
Research Abstract |
(1)VGLUT1ノックアウトマウスを用いた非神経細胞におけるグルタミン酸シグナリングの生理的意義の解析 末梢の非神経細胞におけるグルタミン酸シグナリングの生理的意義を解析するために、グルタミン酸シグナリングの出力系を担うVGLUT1のノックアウトマウスを用いた。膵臓ランゲルハンス氏島はVGLUT1だけでなく2も発現しているため、実験の対象には適さなかった。そこでVGLUT1のみを発現している破骨細胞について解析したところ、VGLUT1ノックアウトマウスは骨粗鬆症を発症していることがわかった。少なくとも骨においてグルタミン酸シグナリングに意義があることが示されたことで、今回解析不可能であった膵ラ氏島などの他の組織においても、生体内で重要な調節機構と働いていると考えている。 (2)好中球におけるグルタミン酸シグナリングの解析 VGLUT1ノックアウトマウスを用いて生理的意義を調べる新たな対象として、好中球を見いだした。以前に好中球がグルタミン酸を放出するという報告があったからである。まず、ヒトの好中球にVGLUT1が発現しており、2は発現していないことを明らかにした。そこでVGLUT1ノックアウトマウスを適用できると考え、マウスにもVGLUT1が発現していることを確認した。今後はVGLUT1の好中球での細胞内局在を調べ、グルタミン酸シグナリングの機能を明らかにし、ノックアウトマウスでの生理的意義の解析につなげることが課題である。 (3)小胞型ヌクレオチドトランスポーターの同定 上記グルタミン酸シグナリングの研究と平行して、未発見であった小胞にATPを輸送するトランスポーターを同定した。ATPは神経のシナプス小胞にも蓄積されており他の神経伝達物質と同様、小胞への濃縮を担うトランスポーターが存在していると考えられているが、その分子実体は不明であった。VGLUTと同じアニオントランスポーターファミリーに属する新規タンパク質がそれらを担っていることを明らかにした。
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Research Products
(3 results)