2005 Fiscal Year Annual Research Report
D-アルギニンを基質として用いるアルギニンキナーゼの研究
Project/Area Number |
05J03622
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
宇田 幸司 高知大学, 理学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | Dアミノ酸 / アルギニンキナーゼ / クレアチンキナーゼ |
Research Abstract |
フォスファゲンキナーゼはATPの高エネルギーリン酸基をグアニジノ化合物に転移させ,ADPとフォスファゲンを合成する反応を可逆的に触媒する酵素群の総称である.そして,無脊椎動物においてもっとも広く分布しているフォスファゲンキナーゼがアルギニンを基質として利用するアルギニンキナーゼである.通常のアルギニンキナーゼはL-アルギニンのみを基質として利用するが,環形動物類ケヤリから見つかったアルギニンキナーゼはL-アルギニンに加えてD-アルギニンをも基質として利用することのできる特殊な酵素であった.また,このケヤリからは,生体内には通常存在しないはずのD-アルギニンが高濃度で存在することが確認された. 本年度は,ケヤリ生体内からアルギニンリン酸を抽出,精製し,そのD-/L-光学活性を確認した.その結果,ケヤリ生体内に存在するアルギニンリン酸のほとんどがD体,つまりD-アルギニンリン酸であることが確認された.これにより,ケヤリ生体内には,D-アルギニン,D-アルギニンリン酸,そして両者を変換することのできるアルギニンキナーゼが存在することが確認され,体内でD-アルギニンがATPの高エネルギーリン酸基の貯蔵源として利用されていることが示された.また,ケヤリアルギニンキナーゼの活性部位周辺と予想される領域において,アミノ酸置換変異体を多数作製し,D-アルギニン及びL-アルギニンの認識に関与するアミノ酸残基の特定を進めている.
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