2006 Fiscal Year Annual Research Report
核酸の構造安定性に及ぼすモレキュラークラウディング効果の熱力学的定量化
Project/Area Number |
05J03648
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Research Institution | Konan University |
Principal Investigator |
狩俣 寿枝 甲南大学, 自然科学研究科, 特別研究員DC1
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Keywords | 核酸構造的安定性 / モレキュラークラウディング / データベース / 機能性核酸 / 水分子 / リボザイム |
Research Abstract |
本研究は、モレキュラークラウディング環境(細胞の非常に混み合った環境)下での核酸(DNA及びRNA)の構造や安定性に及ぼす相互作用を定量的に解析し、核酸構造安定性のデータベースを構築することを目的としている。このデータベースは細胞内の核酸構造の解明や遺伝子発現制御機構の解明の糸口となるだけでなく、細胞内で利用可能な機能性核酸の分子設計にも有用であると期待できる。 テロメア領域のDNA鎖は二重鎖構造または四重鎖構造を形成し、このDNA鎖はテロメラーゼにより伸張され、その鎖長は細胞の老化や癌化に関与すると考えられている。テロメアーゼの活性はDNA鎖の四重鎖構造を形成によって制御されるため細胞内での二重鎖と四重鎖の構造形成メカニズムを明らかにすることは重要である。我々はモレキュラークラウディング環境下における二重鎖と四重鎖の構造形成について定量的に検討した。その結果、これらの構造形成は水分子の出入りによって制御されていることを我々は初めて明らかにした(J.Am.Chem.Soc., 2006,128,7957, Nucleic Acids Symp.Ser, 2006,50,203)。この研究成果は日経産業新聞(2006.6.5掲載)や日刊工業新聞(2006.5.19掲載)にも紹介された。一方、リボザイム(RNAの切断・結合を触媒する酵素活性を持ったRNA)は、様々なタンパク質の生成を制御できると考えられる。我々はクラウディングを誘起する共存溶質がリボザイムの活性に及ぼす影響について検討し、共存溶質が酵素活性を高める明らかにした(Nucleic Acids Symp.Ser, 2006,50,80)。この知見は悪性のタンパク質となるRNA鎖の切断できるリボザイムの分子設計に有用な知見であると考えられる。
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Research Products
(3 results)