2005 Fiscal Year Annual Research Report
心血管デバイスの物理的因子に起因する血球の損傷・破壊現象に関する総合的基礎研究
Project/Area Number |
05J03690
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
渡邉 宣夫 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 一様せん断応力 / 変形能 / 粘弾性 / 振動Couette流れ / 心血管デバイス / 溶血 / バイオレオロジー / 混相流 |
Research Abstract |
正弦曲線的に変動するせん断応力の作用に対する健常人赤血球の動的な変形応答特性 2枚の平行ガラス平板(隙間30μm)間の流れ場における人赤血球に対して、正弦曲線的に変動するせん断応力(最大53〜274Pa)を作用させ、血球の動的な流動・形状変化を評価した。撮影は顕微鏡にマウントした高速度カメラで行い、同時にギャップセンサにて板の動きを計測し、入力としての板の運動速度(せん断応力)と出力としての血球の流動速度と形状変形度との関係を定量評価した。その結果、血球は外部せん断の増大に対しては急速な形状伸展、緩和に対しては粘弾性的な穏やかな形状回復を示す事を明らかにした。この現象の解釈として形状伸展時は弾性モデル、回復時は粘弾性モデルを提案した。(Biophysical Journal査読中、2006年5月生体医工学会大会(福岡)発表予定、2006年度7月5th World Congress of Biomechanics発表申請中) 一様せん断応力負荷に対する血球変形能の変化 上記のシステムを"変形能評価装置"として、一様せん断応力(21,43,64Pa)負荷(最大60分間の負荷時間、10分毎の変形能評価)を受けた人血球の変形能を定量評価した。その結果、21Paに対しては、変形能は変化しなかった。一方で、43、64Paに対しては負荷応力と負荷時間が増大する程、形状伸展能力が低下し、健常な変形能を示す血球の全体に占める割合が減小した。この結果から変形能低下を生じさせない範囲でのせん断応力の最大値は21Paと43Paの間に存在する事を示した。この値は従来のFilterabilityにて評価した研究報告と一致した。加えて、一様せん断応力の負荷を受けて、血球は破壊に至らずともその変形能が低下する事を個々の細胞単位にて明らかにした。(2005年5月度国際バイオレオロジー学会(中国・重慶)にて発表)
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Research Products
(2 results)