2006 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子改変マウスを用いた新たな慢性アレルギー誘発機序の解明
Project/Area Number |
05J03709
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
向井 香織 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究所, 特別研究員(DC1)
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Keywords | アレルギー / 好塩基球 |
Research Abstract |
アレルギー病態において、好塩基球が炎症部に集積することは知られているが、好塩基球の慢性アレルギーへの関与、役割については不明である。そこで我々はIgE、好塩基球、マスト細胞の慢性アレルギー病態における役割を明らかにするため、TNP特異的IgE感作マウスを用いて解析を行ってきた。このマウスにTNP-OVAを耳介皮内投与すると、即時型耳介腫脹(即時相+遅延相)にひき続き、投与後4日目をピークとし、顕著な好酸球浸潤を伴う第3相耳介腫脹が観察された。第3相耳介腫脹はIgE/FcεRIを介した抗原特異的な反応であり、マスト、T、NK細胞を必要とせず、好塩基球によって引き起こされることをこれまでに明らかにした。好塩基球がどのような機構により慢性アレルギー炎症を誘発するかを調べるため、in vitroにおいて好塩基球をIgE/Ag刺激した培養上清が皮膚由来の細胞に与える影響を検討したところ、好塩基球をIgE/Ag刺激した培養上清が皮膚由来細胞に様々なケモカイン・サイトカインを産生させることが明らかとなった。これらの因子を含む培養上清は、第三相耳介腫脹の浸潤細胞の大部分を占める好酸球・好中球を遊走させた。このことから、好塩基球由来の因子が皮膚由来細胞にさらに炎症を増悪させる因子を産生させることにより、少数の好塩基球が慢性アレルギー炎症を引き起こすものと考えられた。また、好塩基球を特異的に除去する抗体を樹立し、第三相耳介腫脹に与える影響を検討したところ、好塩基球を除去することにより第3相腫脹が完全に抑制された。また炎症が誘発されてからこの抗体を投与しても膨張の抑制がみられたことから好塩基球をターゲットとした治療法開発の可能性が強く示唆された。
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Research Products
(5 results)