2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05J03721
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Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
永田 英理 Gakushuin University, 文学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 日本近世文学 / 俳文学 / 俳論 / 芭蕉 / 支考 / 秋色 / 俳諧 / 付合文芸 |
Research Abstract |
1,豊橋技術科学大学准教授の中森康之氏との共同研究として、支考の『俳諧十論』講の聞書とみられる『俳諧十論辯秘抄』(九州大学蔵、成立年未詳。成立には廬元坊が関わっていると推定される)の解読作業を行った。支考の俳諧思想が集約された書であるにも関わらず、『俳諧十論』は従来からその難解さゆえに断片的にしか読まれず、その解釈も一定していない。本伝書は『俳諧十論』に忠実にその内容を解説したものと判断されるため、これを元に『俳諧十論』の注釈を行っている。本研究により、近世における「俳諧」受容の実態の一端を明らかにすることができる。(現在も引き続き、作業を継続中) 2,「執中の法」とは、前句からの「趣向」の立て方と、付句の言葉の仕立て方である「句作」とを分けて考えることの重要性を説くために考案された方法である。支考によれば「始・中・終」のうち、最も重要なのは「中」であり、蕉風の発句においても「中」は発句のなかに言語化されていない(「余情」が「中」に当たる)。前句の「中」を執り、それを題にして付句を案ずる「執中の法」は、初期俳諧の好んだ「親句」的な付け方とは一線を画す蕉風連句の作風について語るうえで、見逃すことのできない案じ方なのである。 (2008年3月27日に芭蕉・蕪村研究会で研究発表をしたため、現在、論文執筆中) 3,其角の弟子として江戸座を継いだ女性俳人の秋色の発句は、慈愛に満ちた人柄を偲ぱせる作品が多いが、かよわさや健気さといった女らしさを売りにするだけではなく、女性の眼から見た女性の姿を、時には気丈に、また時には痛烈で過激に、寓意を交えて生き生きと描いていることを論じた。
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Research Products
(2 results)