2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05J03726
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Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
村松 裕子 (大川 裕子) Gakushuin University, 文学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 江南 / 水利開発 |
Research Abstract |
本研究の目的は、中国長江流域の開発が、自然環境とどのように関わりながら進展したのかを考察することである。とくに、開発と植物との関係、人々の植物への認識変化の分析を通して、長江流域の地域開発、地域文化の特性を検討しようとするものである。 本年度は当初、四川盆地の山間部を中心に、サンショの普及と利用法を調査することを予定していたが、5月に発生した四川大地震により調査の実施が困難となってしまった。そのため、昨年度に引き続き、長江下流の江南デルタ地帯を対象に、自然環境と水利開発、植物との関係を考察した。2009年9月には中国・江南地域への実地調査を行い、太湖南岸の〓田、銭唐江の防潮堤(海塘)、紹興平野の鑑湖などの水利施設を考察した。長江、銭塘江、太湖等の江南の河川・湖沼は、この地域おける生産・定住環境の造成に不利な条件を与えてきた。そのため、人々は技術を駆使して様々な施設を造営し自然改良に務めてきた。湿地帯改良のための〓田、逆流を防ぐための海塘、鑑湖と呼ばれる治水・灌漑防潮設備を備えた貯水池などは、江南における水利開発を象徴する設備である。その開発の過程では、湿地帯におけるサトイモ(水芋)や堤防における桑など、環境に適した植物・作物が選ばれて積極的に栽培されてきた。具体的な水利施設の調査を通して、自然環境の開発と植物の関係を考える上で、貴重な成果を見いだすことができた。
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Research Products
(2 results)