2005 Fiscal Year Annual Research Report
法過程におけるジェンダーとセクシュアリティの交錯:性的マイノリティの婚姻と家族
Project/Area Number |
05J03728
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Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
谷口 洋幸 学習院大学, 特別研究員(PD)
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Keywords | 性的マイノリティ / 同性婚 / 同性パートナー法 / 国際人権法 / 人権保障 / オーストラリア |
Research Abstract |
本年度はおもに次の3点について研究を遂行した。 1.性的マイノリティに関する国際人権法の事例のうち、とりわけ婚姻や家族に関する裁判所の判決において、異性愛至上主義的な傾向がみられることを検証した。また婚姻に関する国際人権法の国内適用という観点からは、同性間パートナーシップの法的保障への適用に限界があることを明らかにした。これらの成果については、2005年7月にバンコク(タイ)で開催された「アジア・太平洋クィア理論国際会議」において報告した。 2.同性間パートナーシップの国内法による保障について、オーストラリアの法過程を検証した。同国の各州において、同性間パートナーシップは個別の法改正や行政措置によって多くの実際的保障がなされている。また人権擁護法の中で性的指向やセクシュアリティにもとづく差別が明示的に禁止されていることから、パートナーシップの性別にもとづく差異は少しずつ解消されている。ところが、昨年の婚姻法改正により婚姻は異性間に限られることとなり、同性婚の成立を目指す立場から反対運動が展開されている。これらの現状は2005年8月から9月にかけてオーストラリア・クィーンズランド大学文化学研究所(CCCS)に客員研究員として滞在し、調査をすすめた。 3.日本における同性間パートナーシップの法的保障に関するニーズを調査するプロジェクトを正式に立ち上げた。前提作業として、2006年3月に、法学者・当事者・政治家の3者の視点から同性間パートナーシップの生活実態と法的保障の可能性を問うシンポジウムを開催し、調査対象者の募集をおこなった。この調査は、社会調査の専門家の協力を得ながら、質問票調査とインタビュー調査をおこなうものであり、来年度から再来年度まで継続して進めていく。
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Research Products
(4 results)