2006 Fiscal Year Annual Research Report
法過程におけるジェンダーとセクシュアリティの交錯:性的マイノリティの婚姻と家族
Project/Area Number |
05J03728
|
Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
谷口 洋幸 学習院大学, 法学研究科, 特別研究員(PD)
|
Keywords | 人権 / セクシュアリティ / 国際法 / 家族 / 婚姻 / ジェンダー / 同性愛 / 性同一性障害 |
Research Abstract |
本年度は、おもに次の3点について研究を遂行した。 1.同性とのパートナー関係をもつ人々の生活実態ならびに法的保障のニーズについてインタビュー調査を実施した。本年度は全国各地に在住する当事者の人々から、それぞれ3時間から6時間にわたって半構造的なインタビューを行ない、約30件の調査を完了した。調査内容は、同性のパートナーと生活するに至った経緯や実生活での困難、家族・友人・職場などへのカミングアウト、必要と思われる法的保障の内容や将来の希望などである。この調査から、同性とパートナー関係を結んでいる人々が、さまざまな困難を抱えつつ、その困難の解消にむけて地道な努力を続けている実態が明らかとなった。次年度も調査を継続し、最終的に報告書としてまとめる。 2.平成18年7月にカナダ・モントリオールで開催された「LGBT人権国際会議」において、日本の性的マイノリティをとりまく法の現状と課題について、とくに同性パートナー関係の保障にかかわる法的な諸問題と差別禁止をめぐる法規制とに焦点をあて、研究報告を行なった。同会議では諸外国の法学者・実務家と活発な意見交流・情報交換を行なうことができた。 3.これまでの研究から、性的マイノリティの人権が私生活・プライバシーの権利を中核に展開していることが明らかとなった。本年度はその出発点としてのプライバシー権について歴史的・理論的な研究をおこない、その成果を北海道大学のシンポジウムで報告するとともに、『国際人権』に論文を掲載した。また人権政策における性的マイノリティに位置づけについては、日本応用心理学会のシンポジウム「弱さの風景」で研究報告を行ない、より包括的な性的マイノリティの法状況について、「法、人権、セクシュアリティのはざまで」と題する研究論文を刊行した。また、パートナーシップの制度的保障に関する共著書も刊行した。
|
Research Products
(3 results)