2006 Fiscal Year Annual Research Report
新たな不斉有機触媒として機能するキラルブレンステッド酸の開発
Project/Area Number |
05J03736
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Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
伊藤 淳二 学習院大学, 自然科学研究科, 特別研究員DC2
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Keywords | 有機触媒 / キラルブレンステッド酸 / 不斉合成反応 / インドール / ポリマー / Brassard's diene / Diels-Alder反応 / マンニッヒ型反応 |
Research Abstract |
「研究の目的」 新しい不斉触媒の開発は有機合成化学において重要な課題の一つであり、より触媒効率が高く、真に実用的な不斉触媒の開発が強く望まれている。我々は、(R)-ビナフトールを不斉源としてリン酸エステルを合成した。このリン酸エステルはキラルブレンステッド酸触媒として機能し、マンニッヒ型反応において高エナンチオ選択的に対応するβ-アミノエステルが得られることを見いだした。そこで本研究では、次の二つのことを目的とし研究を行った。 1.キラルブレンステッド酸触媒にさらに改良を加え、より触媒効率が高く、回収再利用が可能な触媒の開発。 2.キラルブレンステッド酸の適用可能な反応について徹底的に検討を行い、様々なエナンチオ選択的炭素-炭素結合生成反応の開発。 「研究によって得られた新しい知見、成果」 1.まず、ビナフトール3,3'位にフェニル基を有する2,2'-ジメトキシ-3,3'-ジフェニル-1,1'-ビナフチルから四工程で6,6'位にポリエーテルケトンを導入しポリマー担持型キラルブレンステッド酸触媒が合成できることを明らかとした。その後、3,3'位の置換基と求核芳香族置換型重合の検討を行った結果、3,3'位にp-ニトロフェニル基、6,6'位にポリエーテルケトンを導入したポリマーをキラルブレンステッド酸高分子触媒として用いたとき、不斉マンニッヒ型反応が収率98%,33%eeで進行することがわかった。 2.イミンとBrassard's Dieneをメシチレン溶媒中、-40℃でキラルブレンステッド酸触媒を作用させると環化反応が進行し、最高99%eeで対応するα,β-不飽和-δ-ラクタム誘導体が得られた。また、インドール、ニトロアルケンをベンゼン/ジクロロエタン混合溶媒中、0℃でキラルブレンステッド酸触媒を作用させるとFriedel-Craftsアルキル化反応が進行し、対応するインドール付加体が最高93%eeで得られた。
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Research Products
(3 results)