2005 Fiscal Year Annual Research Report
発展途上国におけるガバナンスと経済自由化のインパクト
Project/Area Number |
05J03849
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
福味 敦 神戸大学, 経済経営研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | 制度能力 / 民主化 / 直接投資 / 経済成長 |
Research Abstract |
基礎研究にあてられた平成十七年度は、ガバナンス・自由化・貧困をキーワードとする理論・実証的な先行研究の理解とともに、自由化指標・制度能力指標・民主化指標などデータの収集と加工、パネル同時推定など計量経済分析手法の習熟に研究の重点が置かれた。同時に、以下の個別研究を推進した。 第一に、「ラテンアメリカにおける制度能力と直接投資(西島章次神戸大学副学長との共同論文)」においては、同地域における資本自由化政策が直接投資の誘致に効果的であると同時に、汚職、官僚効率性といった公的な制度能力の改善に寄与することが明らかにされた。この研究については、国際協力銀行開発金融研究所におけるセミナーをはじめ、ラテンアメリカ政経学会第四十二回全国大会、国際開発学会第十六回全国大会で報告する機会を得た。この研究は「開発金融研究所報」第二十六号にて公刊されており、また改訂版を国際ジャーナルに投稿中である。 第二に、現在英文校閲の最終段階にある論文"Democracy, Institutional Quality, Economic Growth"は、政治的自由化の効果に関する実証研究であり、多くの宗教や民族によって構成される多様性国家においては、民主化は必ずしも経済成長に寄与しないことが明らかにされた。この研究については年度内に公刊することは叶わなかったが、近日中に国際ジャーナルへ投稿する予定である。 第三に、新たな研究課題として、経済の不安定性(ボラティリティ)と貧困に関する実証研究を推進中である。議論の中心となるのは、途上国のガバナンス能力によって、外生的な経済ショックによる貧困層へのダメージが異なってくるとのアイディアである。すでに基礎的な統計分析を開始しており、次年度前半での完成を目指している。
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Research Products
(1 results)