2007 Fiscal Year Annual Research Report
東アジアにおける19世紀気象観測記録の補正均質化とその気候変動研究への応用
Project/Area Number |
05J03855
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
財城 真寿美 Kobe University, 国際文化学研究科, 特別研究員(SPD)
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Keywords | 気候変動 / 気象観測記録 / 補正均質化 / 東アジア / 19世紀 / データベース |
Research Abstract |
本年度は最終年度であるため,主にこれまで蓄積されてきたデータおよび研究成果のまとめを行うとともに,データを一般公開し,研究成果を国内外の学術雑誌等に発表した.今年度の研究成果は以下の通りである. 1.19世紀の東アジア長期気象データの整備と全球グリッドデータへのデータ提供・一般公開東アジアの各地で19世紀に観測されたデータ(気温・気圧)の整備を完了し,英国イーストアングリア大学のサイトより一般公開を行った.東アジアの古気候復元を行う様々な研究者からの反応があり,メタデータの公開やデータ自体の再検証に取り組んだ.イーストアングリア大と英国気象庁の協力で,地上観測データに基づく全球グリッドの再計算を行った.気温データはCRUTem3,気圧データはHadSLP2としてリリースされた.以上のように,本研究は過去の気候データの収集にとどまらず,19世紀のデータが現代のデータと比較可能なように補正均質化すること,そしてメタデータとともに一般に公開することによって,長期気候変動や古気候復元の研究に貢献できたと考える. 2.19世紀の東アジア長期気候データを用いた長期気候変動の解析19世紀の東アジア各地の気温データの時系列解析を行い,19世紀日本西部の気温変動において,小氷期末期にあたる1840-1850年は比較的暖かい時期であったことを実証した.その後,北京の気温データにおいても同様の傾向が認められたため,この温暖傾向が日本だけではなく中国北東部も同様であったことが分かった.また,気温・気圧データを使用した19世紀の日本周辺域の大気循環パターン復元の結果では,19世紀末期に冷夏をもたらすパターンが卓越していたことを明らかにした. 3.東アジアにおける19世紀気象観測の科学史的考察東アジア,特に台湾・日本における19世紀の気象観測ネットワークの拡大について考察を行い,東アジア科学技術社会論学会の学会誌において論文を発表した.
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Research Products
(4 results)