2006 Fiscal Year Annual Research Report
コンドリュールの酸素同位体分析と年代測定による太陽系初期の物質化学的進化の解明
Project/Area Number |
05J03862
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
大西 美和 (吉武 美和) 神戸大学, 理学部, 特別研究員(PD)
|
Keywords | U-Pb年代 / 隕石 / 同位体化学 / 宇宙化学 / コンドリュール / CAI |
Research Abstract |
昨年度に改良したPb-Pb精密年代測定のための試料分解方法と化学処理法を実試料である隕石中の構成物である難揮発性包有物(CAI)に適用した。 まずカナダ・アルバータ大学より譲り受けた、Allende隕石から取り出したCAIを樹脂で固め、そこから2枚の薄片を作成し、さらに3個のチップを取り出した。2枚の薄片は走査型電子顕微鏡とそれに付随したエネルギー分散型X線分光装置(SEM-EDS)による観察を行った。一方、3つのチップのうち1個のチップよりCAIを取り出し粉末とした。このうちの13.78mgを酸で分解し、化学処理によって分離・精製し、表面電離型質量分析計(TIMS)による同位体分析に用いた。 具体的には、13.78mgのCAIを段階的に酸で分解し、6つのフラクションとした。また同時に分解に用いた酸と同じ酸を用いて処理を行ったブランクも6つ用意した。これら合計12個の試料に対し、改良した化学処理法を適用した。 薄片のSEM-EDSによる観察結果より、この試料がメリライトという鉱物を多く含むtype AというCAIに分類され、しかも激しい水質・熱変成をうけていることが解った。一方、同位体分析の結果、これまで報告されている形成年代と近い年代が観察された。 実試料に改良した化学処理法を適用した結果、収率、イオン化効率が期待以上に改善されていることが解った。このことより、分解過程をより細かく分け、多くのフラクションを得ることが可能であるということが判明した。より多くのフラクションを分析することにより、形成年代を明らかにする上で、これまで以上に精度が良くなることが期待される。
|
Research Products
(1 results)