2007 Fiscal Year Annual Research Report
コンドリュールの酸素同位体分析と年代測定による太陽系初期の物質化学的進化の解明
Project/Area Number |
05J03862
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
大西 美和 (吉武 美和) Kobe University, 理学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | Pb-Pb年代 / 隕石 / 同位体化学 / 宇宙化学 / コンドリュール / CAI |
Research Abstract |
昨年に引き続き独自で改良したPb-Pb精密測定のための試料分解法と化学処理法を隕石試料に適用した。 前年に行った隕石試料の処理結果より今年は分解処理段階を増やした。隕石試料15.61mg(A01_02)、16.48mg(A02_01)、25.2mg(A02_02)を塩酸、硝酸、フッ酸を用いてそれぞれ10、8、9回と段階的に化学処理した。A02_01とA02_02は同-のCAIである。この試料からは薄片を作製し、A02と名付けた。薄片は走査型電子顕微鏡とそれに付随したエネルギー分散型X線分光装置(SEM-EDS)による観察を行った。化学処理を行った試料は表面電離型質量分析計(TIMS)を用いてPb同位体組成分析を行った。またリーチングした際の沈殿物を回収し、透過型電子顕微鏡(TEM)と走査型電子顕微鏡(FE-SEM)を用いて一部観察した。 段階的に化学処理をした合計27個のフラクションと同時に分解に用いた酸と同じ酸を用いて処理を行ったブランクも27個、合計54個のフラクションに対し、改良した科学分離法を適用した。これらの結果から、二つのCAIのモデル年代を計算した。 また、薄片の観察によりA02は、fluffy type Aに分類されるCAIで、大部分のメリライトと呼ばれる鉱物が変成を受けているということがわかった。 前年に測定したデータとあわせると粗流な組織のtype Aよりも細粒な組織を示す変成を多く受けているfluffy type AのCAIの方が古いモデル年代を示した。これは、細粒な組織の方が溶融過程を経験していないという岩石学的観察結果と一致している。しかし、変成鉱物を多く含んでいる細粒なCAIの方が古いモデル年代を示すということは、Pb同位体組成は変成の影響を受けないということか、或いは酸処理において質量分別効果が起きた可能性も考えられる。これは酸処理の溶け残りを分析することによって明らかになる可能性がある。
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Research Products
(1 results)