2006 Fiscal Year Annual Research Report
細胞内情報伝達分子の活性化の時間制御機構の解明とその薬剤開発への応用
Project/Area Number |
05J03901
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
高橋 英之 神戸大学, バイオシグナル研究センター, 特別研究員(PD)
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Keywords | プロテインキナーゼC / 脊髄小脳変性症 |
Research Abstract |
遺伝性脊髄小脳変性症14型の原因である変異protein kinase Cγ(PKCγ)は培養細胞に一過性に発現させると細胞内凝集体を形成し、細胞毒性を示すことが報告されている。しかしながらこの変異PKCγの凝集体形成機序は現在明らかになっていない。研究代表者はこの変異PKCγの凝集体形成機序を解明するために、インキュベーションイメージングシステムを用いて培養細胞に発現させたGFP融合変異PKCγの長時間観察を行なった。その結果、変異PKCγは細胞内でまずDot様の凝集体を作り、その後その凝集体が肥大・集積してmassive凝集体を形成することがわかった。次に凝集体形成に重要なドメインを明らかにするためにDsRedを融合した変異PKCγとGFPを融合したPKCγの各ドメインを共発現させ、どのドメインが変異PKCγ凝集体に巻き込まれるかどうかを調べた。その結果C1Aとキナーゼドメインが変異PKCγの凝集体と共局在を示し、これらのドメインの凝集体形成への関与が示唆された。またいくつかの神経変性症の培養細胞・動物モデルにおいて分子シャペロンHsp70が変異タンパク質の凝集体形成を阻害することが知られていたため、変異PKCγの凝集体もHsp70の共発現によって抑制することができるかどうかについて調べた。すると予想通りHsp70の共発現によって凝集体の形成が抑制された。また変異PKCγの細胞毒性もHsp70の共発現により一部抑制することができた。以上、我々は変異PKCγがDot様凝集体からmassive凝集体を形成し、その凝集体形成にはC1Aとキナーゼドメインが重要な役割を果たしていることを明らかにした。またこの凝集体形成は分子シャペロンHsp70の強発現によって抑制されることを示した。
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