2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05J03969
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
岡井 信裕 神戸大学, 自然科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | アルカリ土類金属 / マグネシウム / カルシウム / 水クラスター / イオン化ポテンシャル / 吸収スペクトル / 光解離分光 / イオン対 |
Research Abstract |
非常に低いイオン化ポテンシャルを持つNH_4(NH_3)_nの電子構造を詳細に検討するため、電子受容体分子(WF_6)との衝突誘起電子移動反応実験を行った。本研究では、まず飛行時間質量分析器の加速電極部に試料圧可変の反応器を製作し、クラスター源で生成したNH_4^+(NH_3)_nについて質量スペクトルの試料圧依存性を測定した。上記の実験で得た十分な衝突条件にて、アンモニアクラスターの光解離で生成するNH_4(NH_3)_nを反応器に導入したところ、微弱ではあるが衝突誘起電子移動反応で生成したイオンの観測に成功した。現在、検出感度の向上を試みるとともに、衝突反応の試料圧依存性の測定を進めている。 さらに本研究では、溶媒和電子の生成や金属の溶解過程を段階的に捉えるのに格好のモデルとして知られている溶媒和金属クラスターについて以下の実験を行った。ここでは、アルカリ土類金属原子の水和過程を調べるため、M(H_2O)_n(M=Mg, Ca)のイオン化ポテンシャルと吸収スペクトルの測定を行い、イオン対状態の形成を検討した。イオン化ポテンシャルはサイズの増加とともに減少し、n【greater than or equal】9(Mg),n【greater than or equal】8(Ca)で3.18eVと一定の値に収束する結果が得られた。Mg(H_2O)_nの吸収スペクトルは、サイズの増加とともに急激な低エネルギーシフトを示し、n=9で8800cm^<-1>に吸収極大が観測された。一方、n【greater than or equal】11では高エネルギーシフトが観測された。最も低エネルギーに吸収極大を持つサイズはイオン化ポテンシャルが一定になるサイズと一致しており、これらの結果から、Mg(H_2O)_nはアルカリ金属原子と同様にクラスター内でイオン対状態を形成することを明らかにした。
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Research Products
(1 results)