2005 Fiscal Year Annual Research Report
新規フォトクロミック化合物の創成と高密度記録媒体への応用
Project/Area Number |
05J04001
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
木梨 憲司 神戸大学, 自然科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | フォトクロミズム / 光多重記録 / 機能性色素 / スピロピラン / アゾベンゼン / マルチフォトクロミズム / 光スイッチ |
Research Abstract |
1、種々の多重記録が可能と考えられるフォトクロミック色素の合成に成功した。 2、得られたフォトクロミック色素の有機溶媒中での熱安定性を確認した。 合成された化合物は、安定な状態としてスピロピラン部位が閉環体、アゾベンゼン部位がトランス体であった。この化合物のクロロホルム溶液に約400nmの紫外光を照射するとアゾベンゼン部位のシス-トランス異性化に帰属するスペクトル変化が認められ、約300nmの紫外光を照射した時は、新たにスピロピラン部位の開環体への異性化に帰属する吸収が認められ、個々の部位における光異性化を確認した。しかし、この変化を同時に起こすことは出来なかった。そこで、新たに分子間のスペーサーの長さを変え、個々のエネルギー移動をトラップする化合物を合成した。その結果、波長を選択することにより、これらの異性化を同時に誘起することに成功した。この結果は、論文に報告済みである。 3、高分子マトリックス中での安定性を検討した。 高分子マトリックスとしてPMMAを用い測定を行った。PMMA中では、アゾベンゼン部位のシス-トランスの異性化が起きにくかった。なぜなら、シス-トランス異性化を行うためには、マトリックス中で大きな自由体積を必要とするからである。そこで、液状ゴムをマトリックスに用いることによって僅かにシス-トランス異性化を起こすことに成功し、その問題を解決した。この結果は、論文に報告済みである。 4、ラングミュア-ブロジェット(LB)法により膜を作製し記録の高密度化を検討し、紫外可視吸収測定等を行い試料の十分な評価を行った。 液状ゴムをマトリックスに用いた時の結果と同様にシス-トランス異性化は僅かしか起きなかった。しかし、LB膜中では、スピロピラン部位の開環体の熱安定性が大幅に向上したことにより、会合体を形成したという新しい知見を得ることが出来た。
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Research Products
(2 results)