2005 Fiscal Year Annual Research Report
DNA損傷応答におけるWiplによる細胞周期チェックポイントの解除機構
Project/Area Number |
05J04006
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
大西 伸幸 神戸大学, 大学院・医学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | DNA損傷応答シグナル / 細胞周期チェックポイント / Wip1ホスファターゼ / ATMキナーゼ |
Research Abstract |
DNA損傷応答は遺伝情報の保持の上で極めて重要な制御機構である。これまでDNA損傷の感受により細胞周期チェックポイント機構が作動し細胞周期停止の実行に至る過程、それに引き続く損傷したDNAの修復機構及び細胞死誘導機構については活発に解析が行われてきた。しかしながら、作動(活性化)したチェックポイント機構がどのような仕組みで解除されるか、については全く不明であった。我々は、DNA損傷時にp53依存的に発現誘導される核内Wip1ホスファターゼがチェックポイント制御に関わる一連の癌抑制遺伝子産物を脱リン酸化し、それらの機能を抑制するという新しい知見を得ているが、細胞周期チェックポイント機構のオン・オフのシグナル伝達機構に関しては未だ不明の点が多い。 最近、私は癌細胞にWip1を強制発現させることで、これまでに明らかとなっていたChk1,Chk2キナーゼと同様に放射線刺激によって引き起こされる内在性ATMキナーゼのリン酸化が抑制されことを見出した。また、免疫蛍光染色法によりWip1が発現している癌細胞において、放射線刺激後、リン酸化内在性ATM、リン酸化内在性Chk1によって形成される核内fociがWip1のホスファターゼ活性依存的に抑制されることを明らかにした。更に、リン酸化内在ATMがWip1によって直接脱リン酸化されることをin vitro phosphatase assayによって確認した。現在はWip1がATMを脱リン酸化することでATMのキナーゼ活性を制御し得るかどうかについてin vitro kinase assayを用いて解析中である。Wip1とATMの関係を更に詳細に調べていくことで、DNA損傷応答シグナルにおいて新たに重要な知見が得られることが期待される。
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Research Products
(1 results)