2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05J04009
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
下里 大輔 神戸大学, 大学院医学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 多能性 / 細胞接着 / 細胞増殖 / 胚体外内胚葉幹細胞 / Gata / グルココルチコイドレセプター |
Research Abstract |
申請者らはマウスES細胞における二次元培養・三次元培養における知見から、1.基質面との接着あるいは2.一定量以上の細胞間の接着によるシグナルが多能性維持に関与しているとの作業仮説をたてた。本年度は新たなアプローチとして、ES細胞からの壁側内胚葉分化に注目した。壁板内胚葉は個々の細胞が全く接着していないという特徴を持っているため、ES細胞から胚体外内胚葉への分化過程の接着因子の変遷を、マイクロアレイを用いて網羅的解析し、発現の変化(特に減少)が見えた接着因子がES細胞の多能性に関与すると考え以下の実験を行った。 近年、胚体外内胚葉(XEN)細胞がKunath et al.によってマウス初期胚から樹立された(Development 2005,132:1649-61)。当研究室では、転写因子Gata6およびGata4の強制発現がES細胞の壁側内胚葉に分化に十分であることを示していた(Fujikura et al.,Genes Dev 2002,16:784-9.)ことから、さらにGata6の活性化・不活性化を自在に調節可能な細胞の樹立を目指した。 1.まず、デキサメタゾン(Dex)誘導型のグルココルチコイドレセプター(GR)のリガンド結合領域を融合させたGATA6-GRを作製し、ES細胞内でGR-Dexシステムを機能させることに成功した(Shimosato et al.,submitted)。 2.さらに、本細胞を用いた結果、GATA6-GRの活性化することでES細胞は壁盤内胚葉に分化し、さらにGATA6-GRの活性を恒常的に維持することが、胚体外内胚葉細胞に幹細胞特性を付与することに必須であることを証明した(Shimosato et al.,submitted)。現在、当初の目的通りマイクロアレイを用いた遺伝子発現変化解析に向けた準備を遂行中である。 また、胚体外内胚葉幹細胞は細胞接着を介さず幹細胞特性を維持するため、基質面との接着が幹細胞特性に与える影響を様々な基質を使用し、ES細胞と比較・検討中である。
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