2006 Fiscal Year Annual Research Report
食用植物およびその成分によるアリール炭化水素受容体の形質転換調節機構の解明
Project/Area Number |
05J04016
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Research Institution | Kobe University |
Research Fellow |
西海 信 神戸大学, 自然科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ダイオキシン / アリール炭化水素受容体 / クルクミン / インジゴイド / タンパク質キナーゼC / 競合阻害 |
Research Abstract |
環境汚染物質であるダイオキシン類は、細胞質に存在するアリール炭化水素受容体(AhR)に結合しこれを形質転換させる。AhRの形質転換がダイオキシン毒性発現の初発段階であるので、この形質転換を抑制することが毒性の予防・軽減につながると考えられる。そこで本年度の研究では、日本に自生する植物のアルコール抽出物368種についてAhRの形質転換調節能を検討した。その結果、植物抽出物の多くがダイオキシン類のひとつである2,3,7,8-テトラクロロジベンゾ-p-ジオキシン(TCDD)により誘導されるAhRの形質転換を抑制できるということを明らかにし、学術論文として発表した。また、植物抽出物それ自身がAhRの形質転換を誘導するものはほとんどないことも確認した。これらのことは、植物中にはAhRの形質転換を抑制できる成分が多く存在するということを示す。続いて、食用植物の成分であるクルクミンとインジゴイドによるAhR形質転換調節機構を検討した。その結果、クルクミンはAhRにアンタゴニストとして結合し、AhRのリン酸化を阻害することでTCDDにより誘導されるAhRの形質転換を抑制できること、さらには、そのリン酸化阻害作用はタンパク質キナーゼCの酵素活性阻害によるものであるということを明らかにした。インジゴイドに閲しては、高濃度ではそれ自身がAhRの形質伝換を促進するものの、生体内で存在することのできる濃度ではその形質転換を誘導することはなく、逆にTCDDにより誘導されるAhRの形質転換を抑制できるということを明らかにした。さらに、その抑制効果はTCDDのAhRへの結合に対する競合阻害によるものであるということも実証した。
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Research Products
(1 results)