2005 Fiscal Year Annual Research Report
新規軸索再生阻害タンパク質の機能解析と制御法の開発
Project/Area Number |
05J04124
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
羽田 克彦 千葉大学, 大学院・医学薬学府, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 中枢神経 / 再生医学 / 軸索再生 / 中和抗体 / 脊髄損傷 / 分子生物学 |
Research Abstract |
研究者は新規軸索再生阻害蛋白質であるRGMの阻害作用を打ち消す中和抗体(抗RGM抗体)の開発に成功した。そして、この中和抗体の中枢神経損傷に対する治療薬としての効果を検討するため、抗RGM抗体をラットの脊髄損傷モデルに投与した。損傷後、硬膜下に浸透圧ポンプにてコントロール(抗体)あるいは抗RGM抗体が持続的に注入されるようにした。個体間のばらつきを解消するためにコントロール群と抗RGM抗体投与群それぞれ15匹前後を手術した。その結果、ラット脊髄での皮質脊髄路の確実な切断を目的とした背側半切断モデルにおいて、抗RGM抗体投与群のラットでは機能回復が有意に促進されることを見出した。そして、大脳皮質にトレーサーを注入した後、脊髄を免疫染色して再生軸索の数に有意な差が見られるか否かを検討した。コントロール群のラットでは切断された皮質脊髄路は損傷部よりも頭側でしか見られず、損傷部や損傷部よりも尾側においては観察されなかった。一方、抗RGM抗体投与群のラットでは切断された皮質脊髄路の線維から萌芽したと考えられる再生軸索が、損傷部より頭側、損傷部周辺、損傷部より尾側において観察きれた。この再生軸索は、損傷部より尾側において、本来の通り道である皮質脊髄路ではなく、灰白質の全角領域に広く分布していた。これらのことから、RGMが中枢神経の軸索再生阻害蛋白質であること、抗RGM抗体は中枢神経の軸索再生を有意に促進することが示唆された。
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Research Products
(1 results)